◇津波対策、不十分だった
東京電力で開かれた記者会見での勝俣恒久会長との主な一問一答は次の通り。
--(事故は)津波対策への認識が甘かったのでは。
◆対策が不十分だった。こうした事態になったことは大変申し訳なく真摯(しんし)に受け止める。(中略)諸外国にもご迷惑をおかけし申し訳なく思う。
--海水注入した1~4号機。廃炉にするのか。
◆1~4号機の今の状況を客観的にみると廃炉にせざるを得ない。5、6号機(の廃炉)は、地域や政府の意見を聞きながら対応したい。(中略)廃炉のゴールは、まずは冷却。最終的に遮蔽(しゃへい)をどうするか。(チェルノブイリのような)石棺も一つの方策だが、まだ確定したものはない。
--今回の事故は人災ではないか。
◆私自身は対応のまずさは感じていない。現場は電気が消え、通信もできない状況。自動でできる作業が手動になるなど時間がかかった。
--東電は(原子炉の温度を下げるための)海水注入に反対したとの報道がある。
◆海水注入にためらいはなかった。
--地元住民の避難はいつ解除されるか?
◆数週間で戻るのは厳しい。最終的な(原子炉の)安定にはかなりの時間がかかる。
--国有化議論もある。賠償についてはどうするのか。
◆民営企業でありたいし、最大限努力する。最大限の補償をしたい。1~4号の廃炉費用をどこまでみるかによるが、まだ費用試算に至っていない。金融業界から2兆円を超える資金を担保できたが、いくらあっても足りない。原子力損害賠償法は免責事項があいまい。補償は最大限にしたいが、(国と東電が)どの程度負担するかを法の枠組みに照らして対応したい。
--データ開示に遅れがあったのでは。
◆官邸から1号機爆発の報告が遅かったと指摘されたが、通信手段が途絶えていたことを含め遅れがあった。情報の遅れ、ミスについて全体会議で議論し対策を強化している。
毎日新聞 2011年3月31日 東京朝刊