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2011/03/01

【岡本ホテル事件】 高齢者らから集められた預託金は、大東容疑者への貸金約40億円▽松永容疑者への貸金約10億円▽その他の出金約35億円▽使途不明約10億円▽クラブの事業関連費百数十億円

岡本ホテル巨額詐欺:会員還元、わずか40億円 預託金二百数十億円、使途先が判明



 岡本ホテルグループが運営していた会員制リゾートクラブ「岡本倶楽部(くらぶ)」による組織的詐欺事件で、会員から集めた預託金二百数十億円の使途先の全容が捜査関係者への取材でほぼ判明した。事業経営以外に支出された額は約100億円に上り、一部が私的に流用されたり、暴力団に流出。会員に還元されたのはわずか約40億円だった。

 東京地検は28日、グループの元オーナー、大東正博容疑者(59)を組織犯罪処罰法違反の罪で起訴。警視庁などの合同捜査本部は同日、大東容疑者やグループ幹部、松永博宣容疑者(37)ら3人を約100人から約3億円をだまし取ったとして組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で再逮捕した。さらに3人を新たに逮捕した。

 捜査関係者によると、高齢者らから集められた預託金は、大東容疑者への貸金約40億円▽松永容疑者への貸金約10億円▽その他の出金約35億円▽使途不明約10億円▽クラブの事業関連費百数十億円--の名目で出金されていた。

 大東容疑者への貸金などは私的に流用され、クルーザーや外国製高級車の購入、交際女性へのプレゼント代などに充てられていたとみられる。また数億円が暴力団関係者へ渡っていたことがすでに判明している。

 事業関連費のうち、約20億円は営業担当者への報奨金だった。広告宣伝やイベント経費を合わせると、計約40億円を会員募集に充てていた計算となる。大東容疑者らは営業担当者を集めた会議で「どんな手段を使ってでも金を集めろ」と指示。給料は歩合制で月に数千万円を手にした担当者もいたという。大東容疑者らは会員募集時、「5年後には全額返金する」「預託額に応じてプレゼントする無料宿泊ポイントは現金で買い取る」などと説明していた。しかし営業員らは預託金の返還が迫った会員に再契約や預託金の増額を勧誘。返還期限を先延ばししていた。

毎日新聞 2011年3月1日 東京朝刊