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2011/03/19

東京消防庁の緊急消防援助隊、19日午前零時半3号機への放水開始

東京消防庁 3号機に向け放水
3月19日 1時21分



福島第一原子力発電所に派遣された東京消防庁の部隊は、高い位置から放水できる特殊な消防車を使い、3号機に向けて午前0時半から20分間にわたって連続して放水しました。東京消防庁では19日正午をめどに、3号機に向けて再び放水を行うことにしています。

福島第一原子力発電所に派遣された東京消防庁の部隊は、午前0時半から、地上22メートルの高さから放水できる「屈折放水塔車」という消防車で3号機の使用済み燃料を保管するプールに向けて放水しました。

東京消防庁は、政府の対策本部からの要請を受けて、18日、深刻な状態が続いている福島第一原発に特殊な機能を備えた消防車30台と隊員139人を派遣しました。

このうち、18日午後、消防車5台と隊員13人が現地に入り、手作業でおよそ300メートルのホースを設置し、離れた場所でくみ上げた海水をホースで放水車に送りながら連続して放水できるようにして、午前0時半から放水を始めました。

放水は20分間連続して行われましたが、このあと東京電力が送電線の引き込み工事を行うことから、東京消防庁は午前0時50分にいったん放水を終えました。

東京消防庁は、現場に海水を引き込むためのホースを残したままにして、19日正午をめどに3号機に向けて再び放水を行うことにしています。








東京消防庁の「ハイパーレスキュー」深夜の放水

 東京消防庁は18日、東日本大震災で被害を受け冷却機能を失った東京電力福島第1原発への放水作業に、ハイパーレスキュー部隊などからなる緊急消防援助隊139人を派遣した。
放射性物質に対する装備も所持しており、自衛隊、警視庁に続き、危機的状況打開への“切り札”として投入された。自衛隊は前日17日に続き、地上からの放水を実施。原発敷地内の放射線量は減少傾向にあるといい、総力戦での放水作戦が続いている。

 東京消防庁の緊急消防援助隊は18日早朝に出発。午後、福島県いわき市の待機場所から福島第1原発に向かった。派遣要請が菅直人首相から同日未明、石原慎太郎都知事にあった。

 139人の中心となっているのは、ニュージーランド地震の国際緊急援助隊にも加わった精鋭部隊「ハイパーレスキュー」。放射線測定装置を搭載した「特殊災害対策車」など計30台で構成している。これまで人命救助が主な任務だったため原子力施設での災害で活動した実績はないが、放射線事故の訓練もしてきたという。

 しかし、海水のくみ上げを予定していた原発敷地内の岸壁が崩壊していたため、取水場所や作業手順を変更、放水開始が大幅にずれ込んだ。

 当初は原子炉建屋に近い岸壁から、約2キロ先まで送水ができる「スーパーポンパー」と呼ばれる送水車で海水をくみ上げ、隊員が車外に出る必要のない「延長車」を使って、地上22メートルの高さから放水可能な「屈折放水塔車」までホースを引く計画だった。岸壁の崩落で、防護服を着用した隊員が車外に出て別の場所から手作業でホースを伸ばすことになり、午後9時ごろから作業に入った。3号機に向け放水を始めたのは19日午前0時半だった。

 これに先立ち、午後1時50分すぎには自衛隊が前日17日に続いて3号機の使用済み燃料プールに向けての放水を開始。航空自衛隊の消防車両6台と米軍から借りた大型消防車1台で、同2時40分ごろまで計50トンを放水。建屋上部のプールがあるとみられる付近からは時折、水蒸気とみられる白煙が上がった。

 枝野幸男官房長官は会見で、3号機への放水作業について「プールに水が行っているのは間違いない」と述べた。

 プールの容量は約1400トン。前日17日には自衛隊が陸空両面から計60トン放水。警視庁の高圧放水車も44トン放水した。

 東電のデータによると、2号機の西約1キロにある西門付近で、17日未明に毎時350マイクロシーベルト前後だった放射線量が、18日午後1時半には264マイクロシーベルト前後に低下。放射性物質の放出が沈静化しつつあるとの見方もあるが、経済産業省原子力安全・保安院は「放水の効果とはまだ言えない」としている。

 一方、保安院は、1~3号機の事故の深刻さを示す国際評価尺度を、8段階(7~0)のうち3番目に深刻な「レベル5」と発表した。99年の東海村臨界事故を超える国内最悪の評価で、米スリーマイルアイランド事故(79年)と同レベル。これまで1号機の事故を、東海村事故と同じ「レベル4」と評価していた。原発危機に歯止めをかけるため、政府などは19日以降も対策に総力を挙げる。

[ 2011年3月19日 06:00 ]