2011年2月17日11時26分
【エルサレム=井上道夫】イスラエルのリーベルマン外相は16日、エルサレムでの講演で、イラン軍の艦船2隻がシリアに向かうため、スエズ運河を通って地中海に入る計画がある、と語った。地元メディアによると、イランの軍艦船がスエズ運河を航行すれば、1979年のイラン革命以来、初めてという。
イスラエルとイランは対立しており、リーベルマン氏は「イスラエルへの挑発だ」と非難し、「いつまでも挑発を見過ごすわけにはいかない」と警告した。2隻は紅海を航行中とみられ、イスラエル軍が航路を監視している。
イスラエル政府は、エジプトのムバラク大統領辞任に伴う混乱で、同国が管理するスエズ運河やシナイ半島の治安維持体制にほころびがでることを警戒。実際にイラン艦船が通過すれば、中東に新たな緊張を生む恐れがある。
スエズ運河の管理当局は、軍艦船が同運河を航行する場合は事前承認が必要と説明。AP通信に対し、16日の段階で通知はないとしている。
イランは79年、エジプトがイラン革命で国を追われた故パーレビ国王の亡命を受け入れたことや、イスラエルと平和条約を締結したことに反発して国交を断絶。ムバラク前大統領が米国の支援を受けていたことも影響し、国交回復が遅れている。
また、ムバラク退陣を受けて全権を掌握したエジプト軍最高評議会は「各種の国際条約を順守する」との声明を出しており、イスラエルとの協調関係を維持する姿勢を示している。
カーニー米大統領報道官は同日、オバマ大統領がこの情報を承知していると語ったが、詳細については言及を避けた。
イラン軍艦2隻の航行計画、取り消すと通告された=スエズ運河当局者
2011年 02月 17日 19:20 JST
[イスマイリア(エジプト) 17日 ロイター] スエズ運河当局者は17日、イラン軍艦2隻による運河航行計画取り消しが通告されたことを明らかにした。
同当局者は匿名を条件に「イラン軍艦の航行取り消しがきょう通告された。紅海から北上する新たな航行日は設定されていない」と述べた。
同当局者によると、軍艦2隻は現在、紅海のジェッダ港近くにある。関係者によると、この2隻はフリゲート艦と補給船。
イラン軍艦2隻、スエズ運河通過してシリアに行く計画を断念
エジプト政府が拒絶か
【エルサレム森田陽子】エジプト政府が管理するスエズ運河の当局者は17日、イランの軍艦2隻が同運河を通行しようとした計画は、取り消されたことを明らかにした。
イスラエル紙ハーレツ電子版は、取り消しの決定の背後は今のところ不明だが、アラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が、「エジプト政府が同艦船の通行を拒絶した」と伝えた、と報じた。
艦船は、フリゲート艦と補給船。2隻はスエズ運河を通過してシリアの港に着く予定とされたが、計画を断念し引き揚げた。
イスラエルのリーベルマン外相は16日、同艦船がスエズ運河を通過する予定だと警告、イランによる「挑発行為」だとして非難するとともに、主要国家及び友好諸国に対し、イランに自制を促すよう呼び掛けていた。
イスラエル紙によると、1979年のイラン革命以降、同国の艦船がスエズ運河を通過したことはない。尚、同艦船は1年間シリアの港にとどまる計画だったとされる。
2011/2/17 21:50