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2011/01/16

【目黒老夫妻殺傷事件】 警視庁捜査1課は逃走した男が執拗に大原さんを殺そうとしたとみている

目黒夫婦殺傷:被害者に多数の切り傷 執拗に襲撃か
2011年1月11日 11時33分 更新:1月11日 12時44分



 東京都目黒区上目黒3の無職、大原道夫さん(87)夫妻が自宅で男に襲われた事件で、右腹などを刺された大原さんは10日深夜、死亡した。捜査関係者によると、大原さんの胸や背中に数カ所、左手には防御しようとした際にできたとみられる傷が約10カ所あった。男は近所の人が駆け付けた後もすぐには逃げておらず、警視庁捜査1課は逃走した男が執拗(しつよう)に大原さんを殺そうとしたとみている。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】

 警視庁捜査1課は11日午前、目黒署に捜査本部を設置した。検視で大原さんの死因は失血死の疑いと判明し、現場近くで見つかった果物ナイフで刺されたとみられるが、同日中に司法解剖を行って詳しく調べる。妻(81)も右手を切られるなどして軽傷を負った。

 関係者によると、大原さんは、86年6月にパルプ商社の役員を退任していたという。

 捜査本部によると、10日午後4時半過ぎ、自宅2階にいた妻が大原さんの悲鳴を聞いて玄関に駆けつけた際、男が大原さんに馬乗りになって鎌(刃渡り約15センチ)を振り上げていた。悲鳴で駆けつけた近所の男性2人が馬乗り状態の男をいったんは引きはがし、鎌を取り上げた。しかし、男は再び倒れたままの大原さんに馬乗りになり、ナイフで何回も刺したとみられる。

 鎌は事件後、大原さん方の玄関先宅で見つかり、自宅から約100メートル離れた路上には事件に使われたとみられる果物ナイフ(刃渡り約12センチ)があった。ナイフに血痕がある一方で鎌の刃部分には無く、玄関には植木の剪定(せんてい)道具も置かれていたため、男が大原さん宅にあった鎌を奪った可能性がある。一方でナイフは比較的新しく、男が事前に準備したとの見方が出ている。

 大原さん方に物色された形跡は無かった。捜査本部は、男が殺害目的で大原さんを襲った可能性が高いとみている。男は大原さん方から約300メートル離れた東急東横線中目黒駅のある東方向に逃走したという。







無表情のまま「殺す」 目撃者の男性が証言
2011.1.16 20:36
 大原道夫さん方へ救出に駆けつけた近所の男性会社員(38)が産経新聞の取材に応じ、当時の状況や犯人の様子などを語った。男性の証言からは犯人の冷静さと強い殺意が浮き彫りになってくる。

 男性は10日午後4時40分ごろ、帰宅途中に悲鳴を聞き大原さん方に向かった。近所の住民と玄関に通じる階段を上ると、仰向けに倒れたまま抵抗する大原さんと、右手にナイフを持って馬乗りになる男が目に飛び込んできた。大原さんから男を離そうと2人で男の肩をつかんだが、男はびくともせず、「殺す」と無表情のままつぶやいた。

 「低く、重い、冷静な声だった。2人がかりでも、引き離すことができないほど強い力で、強い殺意を感じた」と話す。なんとか引き離したが、男はナイフを向けてにじり寄ってきた。

 「自分がやられる」と判断した男性は階段を駆け下りて110番通報。直後、ボストンバッグを抱えた男が目の前を通り過ぎた。取り乱す様子もなく、終始、無表情だった。古めかしい大きめのボストンバッグが印象に残っている。上半分が赤茶の革で下が黒っぽい色、流行しているようなバッグではなかった。

 大原さんははっきりとした口調で「犯人のことは知らない。百貨店の名前を告げたのでドアを開けた」と話したが、セーターには血がにじんでいた。

 当時は無我夢中だったが今思い返すと足がすくむ。「もっと冷静に対処できていれば、命を救えたかもしれない」と悔やみ、「一刻も早く犯人を捕まえることが弔いになる」と話した。