2011/1/27 6:08
バイオ企業の林原(岡山市)が私的整理手法のひとつである事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請した問題で、メーンバンクの中国銀行が、林原の林原健社長と弟の靖専務の退任を求める方針であることが、26日わかった。体力に見合わない過大な研究開発投資を継続したことに対する責任を問う。ADRの成立には約30ある取引金融機関の同意が必要であり、経営陣の一新が不可欠と判断したもようだ。
林原は食品原料や医薬品の製品化を、基礎研究の段階から手掛けているため、長期にわたり開発投資が先行する事業構造になっている。このため金融機関からの借り入れで資金調達を進めてきたが、景況悪化で保有する土地や有価証券の資産価値が劣化し、資産規模に対して債務が膨らむ状況に陥っていた。
中国銀では、体力以上の無理な開発投資を継続したことが経営悪化の主因とみており、「経営の全権を掌握している社長と専務の退任は当然」(同行首脳)との姿勢を示している。
事業再生ADRでは、申請企業がまとめた再生計画案を、債権を持つすべての金融機関が同意することで私的整理が成立する。林原の借入金総額は約1400億円。中国地方の金融機関では中国銀行のほか山陰合同銀行、広島銀行、鳥取銀行が貸し付けており、合算で約500億円にのぼる。
林原は2月上旬の債権者集会で、金融機関に金融支援を要請する。ただ過剰設備や遊休資産の売却、不採算部門の整理などを求められるのは必至で、事業の再構築を迫られる。
中国銀行の首脳は「地方企業でありながら優れた製品を生み出し、市場を切り開く力は類を見ない」と話し、ADR成立を望む。ただ林原の財務の健全性に対する見方は金融機関の間で温度差があるもようで、ADRが成立するか予断を許さない状況だ。
中国銀行、林原グループへの貸出金は449億円
2011年1月28日18時45分
[東京 28日 ロイター] 中国銀行は28日、事業再生ADRの利用を申請した林原グループ(岡山市)に対する貸出金が合計449億0900万円と発表した。2011年3月期第3・四半期決算で担保などで保全されていない分を引当計上する予定。
詳細は2月8日(従来の2月4日から変更)の決算発表時に公表するとしている。