- 11/01/28 | 16:15
バイオ関連の大手企業、林原(岡山市)の事業再生ADR申請が伝えられ、同社のメインバンクである中国銀行の株価が急落している。
林原グループは、中国銀行の株式を10%以上を保有する筆頭株主でもある。林原グループは非公開の同属経営。バイオの技術力が高く評価されている一方で、不動産やホテル、美術館を所有し、企業メセナにも熱心。ただ、「幅広い投資の実態や経営内容についての開示がきわめて悪く、経営実態がわかりにくい」(銀行関係者)といわれている。岡山の駅前の再開発や、東京歌舞伎町の土地取得など不動産事業で手を広げすぎたことが経営の行き詰まりの原因とも指摘されている。
負債総額は1400億円とされているが、粉飾報道も飛び出し、デューデリジェンスをするまで、実際のバランスシートの実体はわからない。実権を握っていた林原健社長と靖専務の兄弟が近く退任することを発表している。
岡山経済への影響も大きく、トレハロースで「製菓メーカーのほとんどと取引がある」(業界関係者)とされ、影響の大きさからも再生支援を期待する声がある。しかし、他の取引銀行からは「経理の実体が不透明なら、当然、ADRはありえない」「筆頭株主でもあり、メインの中国銀行のグリップが弱かったことが大きな問題」と不信の声が上がっており、ADRの成立は難しそうだ。
中国銀行の林原グループへの融資額は449億円。2005年に岡山駅前の再開発用地に400億円の根抵当権を設定していたが、昨年12月に本登記を行い、保全を図っている。ただ、05年に比べれば実際の担保価値は大きく下がっているとみられる。また、再建のために一定の債権放棄は迫られるだろう。
中国銀行の資本レベルは、Tier1自己資本(中核的自己資本)が3607億円あり、Tier1自己資本比率で13.59%(2010年9月末時点)と、財務上の問題とはならない。そもそも、有価証券の含みも540億円あるので、今11年3月期は期間損益も赤字には陥らず、ある程度数字を埋めてくる可能性が高い。2月4日には業績修正発表が出る予定。「東洋経済オンライン」は現時点では予想数字の修正は行わない。
ただ、優良地銀でありながら、地元経済の資金需要の厳しさを背景に、与信では良い貸出先がないのが中長期的な悩みの種となっている。有価証券の運用は巧みとされているが、与信が伸びないことの裏返しでもある。
(大崎 明子 =東洋経済オンライン)
私的整理のバイオ企業「林原」と古舘伊知郎のただならぬ関係とは?
「バイオ企業『林原』私的整理を申請 不正経理疑惑」
日本経済新聞1面によると、バイオ企業の「林原」は25日、私的整理手法のひとつである事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請したことを明らかにしたという。借入金総額は約1,400億円、約30の取引金融機関に支払延長などで金融支援を求めるという。
林原は食品の甘味料にも使うトレハロースの量産で知られ、インターフェロンなど医薬品の製造にも力を入れており、テレビCMも展開しているほどだ。非上場の同族企業で長期的な研究開発体制をとっており、研究開発の投資負担がかさんだことが原因と見られている。
この林原の社長、林原健社長は『報道ステーション』(テレビ朝日系)でおなじみの古舘伊知郎のスポンサーの一人と言われている人物だ。
「古舘伊知郎が『報道ステーション』のキャスターになる際には、この林原との関係が取り沙汰されたこともあります。というのも、古舘は以前から、林原社長の接待を受けており、豪遊した話を周囲に語っていましたが、林原は政治家(旧橋本派)のスポンサーとも言われており、その関係で同派閥関連のニュースは古舘のタブーになっていくのではないかと懸念されていたのです」(週刊誌記者)
日経の記事によれば、林原は過去に不適切な会計処理、不正経理があった疑いも浮上しているという。
「当時の取材によれば、林原は新宿歌舞伎町に社員限定で立ち入り可能なビルなどを所有していました。古舘もこのビルで接待を受けていたようです」(同)
林原は2月上旬にも債権者集会を開き、取引金融機関に支援を要請するという。返済猶予のほか、一部融資の株式化による実質的な債権放棄を求める模様だ。
医薬品の企業が新宿歌舞伎町に社員限定のビル......なんだかバブリーな話だが、こうした会社に接待を受けていたとなれば、古舘もなんらかの説明が必要だろう。
『報道ステーション』での古舘は眉間にしわを寄せ、政治とカネ問題の十分な説明を求めているが、関係の深い企業に不適切な会計処理があったとなれば、社会問題になってくる可能性が高い。古舘ならばこう言うはずだ。
「これは国民の納得のいく説明が必要になってきますね、一色さん」
(文=和田清)
破綻した岡山の老舗企業「林原」、オーナー逮捕に進むのか?(3)
倒産を追う2011年2月 1日 07:00
<オーナー経営の永年の膿が露呈>
同社が事業再生ADRを申請したことで明るみになったのが、粉飾決算だ。経営陣は1984年以降、不適切な会計処理を行なっていたことを認めた。金融機関に開示する資料などで、売掛金の架空計上を繰り返していた。関係者によれば「90年10月期から01年10月期まで売掛金や売上高を過剰に計上した資料」を金融機関に提出したそうだ。架空計上額は年間2億円から50億円で総額は288億円。
このほか、84年以降、支払利息を資産に計上し利益を水増しするなどのケースがあった。同社は純資産約143億円としてきたが、架空計上分などを差し引くと、実際には約540億円の債務超過となっている。この架空計上が原因で「背任容疑で逮捕につながるのでは」と囁かれている。
半年前、「代表取締役社長の林原健および弟で専務取締役の林原靖が魂を中国人に売った」との噂が関係筋のなかで蔓延した。同社の持つ保有資産のなかで代表的な物の1つに、JR京都駅前に建つ京都センチュリーホテルがある。「このホテルを昨年、中国の資産家に売却した」との情報が流れたのだ。
林原グループのメインバンク・中国銀行は、「有力株主である林原に中国資本が入ったとなれば面倒なことになる」と判断して林原を見切ったようだ。中国銀行株を中国資本家が保有すれば、銀行にとって「都合が悪い」と見ているらしい。中国銀行は、すかさず「林原に過去の粉飾決算や代表者の背任行為などを許す代わりに、林原には『倒産』の二文字を突きつけた疑い」があるのだ。読者は、この中国銀行と林原、中国資産家の話をどこまで信用するかは自由である。