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2010/12/08

WikiLeaks、【東京新聞】組織は広告塔のアサンジ氏を見捨て、新たな組織として機密文書の公開を続けるのではないか

創設者逮捕 織り込み済み ウィキリークス公開は継続
2010年12月8日 13時58分(東京新聞)

 米外交公電を次々と暴露し、国際社会を揺るがした内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジ容疑者(39)が7日、滞在先のロンドン市内で性犯罪容疑で逮捕された。本紙の野口修司・ロサンゼルス通信員は、同容疑者への直接取材などウィキリークスの動きを過去半年間にわたって追ってきた。

 ついにアサンジ容疑者が逮捕された。同容疑者と最後に会ったのは十月下旬、ロンドンの飲み屋だった。部下四、五人に囲まれ、アルコールも入ってご機嫌だった。




 その時、アサンジ容疑者はスウェーデンで二人の女性と関係を持ったことを認めたが、「行為は合意の上。なぜ訴追されるのか分からない」と話し、ウィキリークスを規制したい米国などからの働き掛けがあるとの見方を示唆した。

 これまでの報道によれば、被害者とされる女性の一人はジャーナリストの経験がある。もう一人は米中央情報局(CIA)から資金提供を受けたといううわさがあった。今後の司法手続きの中で明らかになるだろうが、私の見方では今回の事件はあくまでアサンジ容疑者の個人的行為の結果であり、米国の陰謀という結末にはならない可能性が高い。

 ウィキリークスは八月の逮捕状発付を受けて内紛が起き、それまでアサンジ容疑者の右腕を務めてきたドイツ在住の男性が辞任。ウィキリークスの活躍で救われたというアイスランドの女性議員も、同容疑者を「傲慢(ごうまん)だ」と批判するなど、組織内では編集責任者であるアサンジ容疑者の「独裁的振る舞い」への反感が強まっていた。

 今回のアサンジ容疑者の逮捕でウィキリークスはそれなりのダメージを受けた。ただ、逮捕はある程度織り込み済みのことだ。世界には多数の支持者がおり、これまでと同じように文書公開を続けるだろう。サイト運営者の一人である元アイスランド国営放送記者のフラフンソン氏は電話インタビューで、資金源へのアクセスが復活し、今後も米外交公電を公開していくことを明言した。

 アサンジ容疑者の説明によると、ネットを通じた情報提供はさまざまな国のサーバーを通して絶対に情報源が分からないようにしているという。

 ただ、今回の逮捕でアサンジ容疑者の犯罪行為が認定されれば、組織は広告塔の同容疑者を見捨てる可能性もある。ウィキリークスは新たな組織として、機密文書の公開を続けていくことになるのではないか。