これまでの一般的な暴力団対策とは別の対応が必要な、実態を把握しにくい新勢力
愚連隊グループ拡大 風俗業などに関与も
歌舞伎俳優市川海老蔵(33)が殴られ全治2カ月のけがを負った事件で、警視庁は10日夜、傷害容疑で職業不詳、住居不詳の伊藤リオン容疑者(26)を逮捕した。
今回逮捕された伊藤容疑者をはじめ、最近、六本木など都内繁華街では、一般的な「暴力団」とも旧来の「暴走族」とも少し違う、20代後半~30代前後の男らで構成される、新しいタイプの「不良ネットワーク」が活動を拡大させている。
少年期に都内の有名暴走族やぐれん隊で活動した人が、20代、30代になっても六本木などを活動拠点に横のつながりを持ち続け、何かあった時には共同で金もうけやトラブル対策にあたったりする。暴力事件に関わったり、闇ビジネスに手を染める人も複数いるとされるが、明確な事務所もなく、ネットワーク自体は指定暴力団ではないため、警察も暴力団対策法で対応しにくい。
捜査関係者は「彼らは『素人』相手にはコワモテの顔を出し、『本職』相手には警察に頼ることもある。これまでの一般的な暴力団対策とは別の対応が必要な、実態を把握しにくい新勢力だ」と話している。
こうした不良ネットワークは六本木などの繁華街でクラブ経営に関与したり、AV関連や風俗などの業種で利益を挙げているメンバーが目立つ。一部は「表のビジネス」で成功している人もいる。
生活が派手なメンバーも多く、六本木関係者は「関与するクラブなどを通じ、飲みに来る多くの芸能人や著名人と面識があり、高級タワーマンションに住むなど派手な人脈を持つメンバーも多い。しかし一方で、闇社会と密接な人や、本人が暴力団構成員になってしまう人もいる。中には、振り込め詐欺やヤミ金融、薬物売買などの裏ビジネスに近い人もいるとされる」と証言した。
[2010年12月11日11時3分 紙面から]