12月1日 18時41分 NHK
武器輸出三原則緩和促したか
政府の機密情報などをインターネット上に掲載する「ウィキリークス」は、アメリカのミサイル防衛戦略に関する外交文書を公表し、この中で、アメリカは、日本と共同開発した迎撃ミサイルをヨーロッパに配備する可能性を指摘しており、アメリカが日本に「武器輸出三原則」の緩和を促したのではないかという見方が出ています。
公表されたアメリカ外交当局の外交文書には、去年9月、オバマ大統領が新たなヨーロッパのミサイル防衛システムの構築を打ち出した際、国務省が関係国の政府と事前に協議するよう、各国のアメリカ大使館に指示した内容が書かれています。このうち、東京のアメリカ大使館に対しては「新しいヨーロッパのミサイル防衛システムは、現在のところ、アメリカの所有する迎撃ミサイルを使用することを考えている。しかし、将来、日本と共同開発した迎撃ミサイルを使用するという戦略的な決断をするときには、日本と緊密に協力したい」と日本政府に伝えるよう指示しています。
これは、日米が共同開発した迎撃ミサイルを、第三国であるヨーロッパに配備する可能性を指摘したもので、アメリカが両国間の協議の中で日本に対し、外国への武器輸出などを原則禁じた「武器輸出三原則」の緩和を促したのではないかという見方が出ています。
米政府、ミサイル輸出解禁を要請…公電暴露
【ワシントン=小川聡】米政府が日米で共同開発中のミサイル防衛の次世代型迎撃弾「SM3ブロック2A」の欧州への輸出解禁を日本に求めていたことが、ウィキリークスに流出した米政府の文書で分かった。
政府・民主党が武器輸出3原則見直しに着手する背景になった可能性もある。
文書は、昨年9月に米国がSM3ミサイル防衛網を欧州に構築する新計画を公表する直前に、米国務省が各国との協議を各大使館に指示した外交公電。日本については「米国はミサイル防衛装備の将来的な売却を含む北大西洋条約機構(NATO)、欧州各国との防衛協力を目指す。日本の戦略的決断に協力したい」と伝えるよう指示している。
日本政府関係者は30日、米側からこうした要請が実際にあったことを認めた。
(2010年11月30日14時50分 読売新聞)