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2010/12/30

中国政府、「ホットマネー」流入で16行を処分 邦銀では山口銀行のみ公表

2010/12/30(木) 09:54
中国当局が山口銀行を処罰…ホットマネー問題で「規則違反あった」

 中国政府・国家外貨管理局は29日付けで、ホットマネーなどに絡んだ規則違反で、国内外の銀行16行を処罰したと発表した。外国の金融機関としては唯一、日本の山口銀行が処罰対象として発表した。

※山口銀行は30日、投機資金(ホットマネー)流入に関する違反はなかったと発表した。青島支店(山東省)が当局に提出した国際収支統計報告の利益送金額に記載もれがあり、反則金の支払いを求められただけという。(編集者追記)


 10月から現在までに、中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、中信銀行、上海浦東発展銀行、廈門(アモイ)国際銀行、山口銀行を処罰したと発表した。「16行を処罰した」との説明なので、8行の名は未公開ということになる。

 外貨管理局によると2月下旬から、いわゆる「ホットマネー」などの、中国国内への不正流入に対する監視を強化し、違反197件を摘発した。関連金額は73億4000万ドルに達した。10月からは更に規制を強化し、商業銀行3行を調査した。同局は処理・処罰を集中して進め、10月以来、16行を処罰したという。


 処罰の内容は◆罰金◆外貨関連業務の一時的・部分的な停止◆責任者の処罰――という。

 中国に各種規則をかいくぐって流入する「ホット・マネー」の多くは、海外在住の中国人・中国系住民によるものとみられている。「ホット・マネー」の主な投機対象は不動産で、中国当局は不動産市場の価格高騰、ひいてはインフレ圧力をもたらすとして警戒している。実態を離れた不動産価格の高騰は「バブル崩壊」をもたらす危険もある。

 外国の銀行で、日本の地方銀行である山口銀行の名だけを発表した理由は不明。1種の見せしめの可能性もある。中国当局が外国企業を取り締まりの対象にする場合、「日本企業が狙われやすい」との見方も根強い。「米国企業などを対象にすると、相手国政府の猛抗議で、問題がこじれる場合もある。日本の場合、猛抗議の可能性は低い」ことが理由という。

 外貨管理局は同発表中、「調査の結果、絶対的多数の銀行は金融サービスの改善を進めると同時に、規則にもとづく経営を行う意識を強めており、全体的な状況は一歩、前進していることが分かった」と発表した。しかし、“中国四大商業銀行”と呼ばれる、中国工商銀行・中国農業銀行・中国銀行・中国建設銀行がすべて処罰の対象になっていることから、ホットマネー流入に対する中国当局の対策は、相当に大きな問題を抱えていると想像できる。(編集担当:如月隼人)








2010/12/30 13:20 モーニングスター 株式ニュース
<話題>中国での規則違反で山口銀だけ公表―実は、ただの報告漏れ

 一部マスコミによると、中国政府・国家外貨管理局が29日付で、投機資金といわれる「ホットマネー」に絡んだ規則違反で国内外の16銀行を処罰したと報道。外資系金融機関では山口フィナンシャルグループ 傘下の山口銀行だけが公表されており、話題になっている。

 報道によると、不動産などを購入するために不正な投機資金、いわゆる「ホットマネー」を中国国内に流入させたとして、16行のうち、中国4大銀行をはじめとした8行を公表した。外資系銀行は山口銀だけ。残り8行の名前は公表されていない。

 山口FGによると、「ホットマネーというような資金ではなく、単なる外為法上での報告漏れに過ぎない」(広報担当)としている。どういう経緯で、山口銀の名前が出たのか不透明だが、市場では「中国に反論しにくい邦銀のなかでも、地銀の山口銀が見せしめにあった」(国際金融筋)との指摘もあった。

 山口銀は「国際統一基準銀行」で地銀では9行だけ。自己資本比率規制など、国際規制を受ける。この山口銀だけを公表したのは、「中国が不動産価格高騰やインフレ懸念に相当、頭を悩ましていることの裏返し」との見方もされているようだ。
 山口FGの株価は午後1時10分現在、前日比6円安の818円。(阿部秀司)


2010年12月30日(木)18:03
送金記載漏れが背景=投機資金「違反ない」-中国当局の処分で・山口銀

 山口フィナンシャルグループ傘下の山口銀行(山口県下関市)は30日、中国国家外貨管理局が29日に外貨管理規則に違反したとして罰金や一部業務停止の処分にした内外金融機関の中に同行が含まれていたことについて、「中国から日本への利益送金に関する報告書の記載漏れについて指摘を受けた」と説明した。一部報道にあった投機資金の流入に関わる違反は一切なかったとしている。

 同行カスタマーコミュニケーション部によると、中国の青島(山東省)、大連(遼寧省)の両支店のうち、青島支店が日本の本店に送金している2007~08年度の税引き後利益について、外貨管理局に提出する国際収支統計報告に記載漏れがあったと指摘された。
 今年9月に中国当局の検査があり、今月29日に青島支店が処分決定通知を受け取ったという。反則金(罰金)は10万元(約130万円)で、記載漏れは「単純ミス」と釈明している。





2010/12/30 0:56 日経
「投機資金を流入」中国、邦銀など16行処分

【北京=高橋哲史】中国国家外貨管理局は29日、規定違反の取引で短期的な投機資金の中国国内への流入に関与したとして、日本の山口銀行を含む16行79支店を罰金や一部業務停止などの処分にしたと発表した。中国国内に先進国の金融緩和でだぶついた資金が大量に流れ込んでおり、当局は取り締まり強化を印象づけ資金流入を抑制する狙いがあるとみられる。

 処分を受けたのは山口銀のほか、中国国有大手の中国工商銀行、中国農業銀行など。山口銀の具体的な違反行為や処分内容は明らかにしていない。中国は資金流入に厳しい管理を敷いているが、実在しない貿易取引の捏造(ねつぞう)など違法な形で流入する資金が急増し、インフレや不動産価格高騰の一因になっている。