鳩山首相団体偽装献金:贈与税02、03年分は時効 国税当局、1億3000万円還付
鳩山由紀夫前首相が実母から巨額の資金提供を受けていた事実が発覚し、贈与税約6億1000万円を納付した問題で、国税当局が、鳩山氏側に02~03年分の計約1億3000万円を還付していたことが分かった。悪質な仮装・隠蔽(いんぺい)行為はなかったとの判断から、時効分を返還した。鳩山氏が長年申告を怠った結果、本来なら納付すべき税金を免れたことになる。
実母からの資金提供は、鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」による偽装献金事件の捜査過程で発覚。顧問弁護士の調査報告書などによると、提供は02年7月~09年5月の間で、月額1500万円、総額で12億4500万円に上り、02~03年には計2億7000万円が提供された。
鳩山氏は発覚後、資金提供を「知らなかった」と説明。02~08年分は昨年12月にまとめて申告し、09年分は規定通り今年3月に申告していた。これを受け、国税当局が税務調査を続けていた。
相続税法で定めた贈与税の課税時効は、03年までは5年、04年以降は法改正で6年だが、悪質な仮装・隠蔽などの不正行為があった場合は7年に延びる。しかし、贈与を知りながら隠したなどの不正行為が認定されなかったことで、02年分は08年3月、03年分は昨年3月に時効を迎えていたと判断された。
鳩山氏はこの問題を巡って、2月に国会で行われた党首討論で「(国民に)納税がばかばかしいとの思いがあるのは誠に申し訳ない」と陳謝していた。
鳩山氏の事務所は毎日新聞の取材に「贈与税の納税手続きについては個人情報に係る事項で、答えを差し控える」と話している。
毎日新聞 2010年12月24日 東京朝刊
鳩山前首相に1.3億円還付 贈与税2年分は時効
2010/12/24 2:00
鳩山由紀夫前首相が実母から巨額の贈与を受け、贈与税約6億970万円を納付していた問題で、国税当局が2002年、03年分の計約1億3千万円を前首相側に還付していたことが23日、関係者の話で分かった。納付時に課税時効が成立していたことが理由だが、前首相は結果的に、この2年分の課税を免れた形となった。
鳩山前首相の事務所によると、02年から09年までに実母から贈与を受けた計約12億4500万円を対象に、昨年12月に02~08年分、今年3月に09年分の贈与税をそれぞれ申告・納税した。
関係者によると、国税当局の税務調査で、前首相自身が資金提供を受けていた事実を知らず、悪質な仮装・隠蔽行為を伴う所得隠し(課税時効7年)はなかったと判断されたという。このため時効にかからない分だけ遡って納付を受け、時効(当時は5年)が成立した02年分と03年分は前首相側に還付されたという。
この問題は、東京地検特捜部による偽装献金事件の捜査で発覚。実母は元公設第1秘書(60)=政治資金規正法違反罪で有罪確定=の要請を受け、毎月1500万円を前首相側に提供したとされる。鳩山前首相は昨年12月に謝罪して「資金提供を知らなかった」と釈明した。
前首相の地元・北海道の事務所関係者は「贈与税の納税手続きについては東京の事務所が担当しているので把握していない」としている。