鳩山氏側が偽装献金巡るコピー保管 「ない」と国会答弁
2010年10月19日3時2分
鳩山由紀夫前首相が、自身の資金管理団体の偽装献金事件をめぐって「東京地検に任意提出しており、コピーはない」と繰り返し国会答弁していた会計帳簿などのコピーを、鳩山氏側が実際は保管していたことが関係者の話でわかった。首相在任中の鳩山氏は、コピーがないことを、自身への疑惑の説明を避ける理由にしており、野党側は「虚偽答弁だ」と批判。開会中の臨時国会で議論を呼びそうだ。
複数の関係者によると、鳩山氏側がコピーを持っていたのは「友愛政経懇話会」の会計帳簿や関係資料。東京地検特捜部が政治資金規正法違反(虚偽記載など)の容疑で捜査していた昨秋、団体側から2008年までの5年分が任意提出されていた。この際、鳩山氏の弁護側が、通帳や帳簿などの書類をコピーし、鳩山氏への捜査に備えて保管していたという。
一方、巨額資金の使途について国会で追及された鳩山氏は、手元に会計資料がないことを理由に説明を回避。今年1月の衆院本会議で「公判終了後、書類が返還された後に検証する」などと答弁。弁護士出身の野党議員は「弁護活動に帳簿類のコピーは不可欠なはず」などとコピーの有無を追及した。
今年1月の参院予算委員会では自民党の森雅子氏が「当然、複写をしていると思われる」と質問。鳩山氏は「複写はないものと理解している」と答弁した。2月の衆院予算委員会では、公明党の大口善徳氏の同様の質問に「コピーはしなかった。それは(弁護士に)確かめた」と、重ねて否定していた。
衆院事務局によると、国会で虚偽の答弁をしても、証人喚問を除けば偽証罪には問われないという。
朝日新聞の取材に、鳩山氏の事務所は「誤解がある」として改めてコピーの存在を否定。さらに「検察の(不起訴)処分、検察審査会による(不起訴相当の議決が出た)審査、(元秘書の)裁判とも終了し、法的に決着している。政治的責任についても総理辞任をもってけじめをつけた」と答えている。
これに対し、大口氏は「鳩山氏は虚偽答弁で説明責任を逃れたまま、今も活発に議員活動をしている。菅直人首相も『総理辞任で政治的責任を取った』と、鳩山氏をかばう答弁をしている。民主党全体でこの問題をないがしろにしている」と批判している。
http://www.asahi.com/politics/update/1018/TKY201010180416.html