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2010/09/02

中国 「対北朝鮮追加制裁は正当な中朝貿易や人道主義的な結びつきを損なう」

産経
北朝鮮追加制裁 中国の協力は期待薄
2010/09/02 20:07


 【北京=川越一】オバマ米政権が、武器取引や通貨偽造などへの関与が疑われる北朝鮮に対する新たな金融制裁を発動した。金正日総書記の直轄機関などを狙い撃ちした今回の追加制裁だが、中国の協力なしには骨抜きになる恐れがある。

 中国外務省の姜瑜報道官は2日の定例記者会見で、訪米中の武大偉朝鮮半島問題特別代表の目的について、「現在の朝鮮半島情勢と6カ国協議の再開に関するさまざまな問題について意見を聞くため」と説明。さらに「関係各国が冷静さを保ち、同じ方向に向かうことを望む。関係改善に有効な手段を講じ、緊張を緩和するべきであり、逆のことはするべきではない」と述べ、追加制裁を打ち出した米国を暗に批判した。




 追加制裁では、金総書記に直結する資金管理機関「朝鮮労働党39号室」と武器の開発や輸出を手がける「99号室」を統括する第2経済委員会が対象に指定された。その武器輸出の窓口といわれるのが、個人の制裁対象となった元外交官のユン・ホジン氏。ユン氏が代表を務める北朝鮮企業「南川江貿易」は北京と遼寧省の省都、瀋陽に事務所を構えているとされる。

 米紙、ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、ユン氏は瀋陽にある中国国営企業の事務所を通じて取引の一部を行っているという。中国は同社の活動を黙認することで、北朝鮮に外貨獲得の“抜け道”を提供していることになる。

 8月下旬、訪中した金総書記は吉林省と黒竜江省を視察。5月に視察した遼寧省と合わせ、今年、東北3省すべてに足を運んだ。北朝鮮が対外貿易の拠点とみなす中国に接する羅先経済特区の成長は、中国東北部との結びつきが不可欠。東北部の経済発展を急ぐ中国としても、内陸から日本海への玄関口として、羅先の対外開放に期待している。

 追加制裁は正当な中朝貿易や人道主義的な結びつきを損なうというのが中国の立場だ。専門家は「中国が制裁に参加する可能性は低い。制裁が効果を得るのは難しい」と極めて冷静な見方をしている。