首都圏の北部で、東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授(構造地質学)らが地震波を使って地下構造を詳しく調査した結果、新たな活断層が二つ見つかった。
一つは埼玉県中南部の荒川沈降帯で、断層は地下数キロにあり、8万年前以降に動いたとみられる。確認できた長さは約10キロだが、さらに南東へ続いている可能性もある。もう一つは千葉・埼玉県境の野田隆起帯で、地下数キロにある断層は長さ約20キロに及び、やはり8万年前以降に活動したとみられる。佐藤教授は「今すぐに活動するとは考えていないが、東日本大震災の地殻変動の影響が徐々に及ぶことも想定される」としている。
(2012年3月3日09時28分 読売新聞)
首都圏で新たな“活断層”見つかる!首都直下へのリスク高まる?
2012.03.03
関東地方で地震が相次ぐ中、不気味な新情報だ。首都圏近郊で新たに2つの活断層が確認されたという。政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、将来の地震発生確率が高まる可能性がある断層帯として、すでに埼玉県南西部から東京多摩地域に延びる「立川断層」を挙げているが、さらに首都直下地震のリスクは一気に跳ね上がるのか-。
新たな活断層の存在を確認したのは、東京大学震研究所の佐藤比呂志教授(構造地質学)。地震波を使って地下構造を詳しく調べた結果、埼玉県中南部の「荒川沈降帯」と、千葉・埼玉・茨城の県境にまたがる「野田隆起帯」を確認したという。いずれも8万年前以降に活動したとみられる。3日付読売新聞が報じた。
地震本部は昨年6月、将来の地震発生確率が高まる可能性がある断層帯として、宮城県亘理町~福島県南相馬市の「双葉断層」と「立川断層帯」、「牛伏寺断層」(長野県)の3カ所を発表。立川断層帯は首都圏のベッドタウン直下にあり、「マグニチュード(M)7・4クラスの発生確率は30年以内に0・5~2パーセント。最大48万棟が全壊し、死者は約6300人」(中央防災会議)とされる。
今回確認された2カ所も、それぞれ埼玉県ふじみ野市や千葉県野田市など、いずれも首都圏のベッドタウンとして人気が高い住宅密集エリアをまたぐだけに、イヤでも不安は高まる。
地震学が専門の島村英紀・武蔵野学院大特任教授は、「関東平野は厚い関東ローム層に覆われ、まだまだ隠れている断層がたくさんあり、2カ所の確認によらずとも首都直下地震のリスクは常に内在している。それぞれが巨大地震を引き起こす可能性は、いずれも立川断層帯と同じ1万5000年~2万年に1回程度。8万年前の活動が確認される以上、立川断層帯と同じ危険度とみてよいでしょう」と話している。