ローマ法王、「マルクス主義はもはや現実に対応しておらず、キューバは新しい体制を見いだすべきだ」
マルクス主義「時代遅れ」=キューバに体制移行促す-ローマ法王
【ジュネーブ時事】「マルクス主義は時代遅れ」-。メキシコとキューバを訪れるローマ法王ベネディクト16世(84)は23日、カストロ前国家評議会議長(85)の主導で社会主義を推進したキューバに「新体制」への移行を促した。同法王が特定の国の政治体制に言及するのは異例だ。
法王はメキシコに向かう機内で同行メディアと会見。イタリアのANSA通信などによると、長年続いたカストロ体制の「トラウマ」に陥らず、世界に開かれた新たな社会をつくる必要があると訴えた。(2012/03/24-06:27)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201203/2012032400061
法王 キューバ訪問前に体制批判
3月24日 15時9分
ローマ法王ベネディクト16世は、初めてのキューバ訪問を前に、マルクス主義はもはや現実に対応しておらず、キューバは新しい体制を見いだすべきだとの考えを示し、波紋が広がっています。
ローマ法王、ベネディクト16世は、23日からメキシコを、26日からはキューバをそれぞれ初めて訪問することになっていて、23日、現地に向かう機内で同行の記者団と会見しました。
この中でベネディクト16世は、社会主義理論の柱となるマルクス主義について「もはや現実に対応していないのは明確だ」としたうえで、キューバを念頭に「新しい体制を忍耐強く、建設的に見いだすべきだ」と述べました。
ローマ法王が訪問先の国の政治体制に言及するのは異例のことです。
この発言に対し、キューバ内外の反体制グループは「ローマ法王が社会主義の今の体制を批判し、変革を求めたものだ」とこぞって歓迎しています。
一方、法王を歓迎する準備が進められているキューバ国内では、市民から「法王の訪問の目的はわれわれを祝福することであり、政治に首を突っ込むことではないはずだ」といった困惑の声が聞かれました。
キューバのロドリゲス外相は「ローマ法王の話を敬意をもってうかがいたい」と述べ、静観する姿勢を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120324/k10013944671000.html
「マルクス主義は時代遅れ」 キューバ入りするローマ法王
2012.3.24 21:33
【ニューヨーク=黒沢潤】ローマ法王ベネディクト16世(84)が26日から3日間の日程で、キューバを訪問する。ローマ法王の同国訪問は1998年のヨハネ・パウロ2世以来。法王は訪問に先立ち、23日に社会主義体制から「新体制」への転換を促すなど、キューバ政府に揺さぶりをかけている。
法王は26日、東部サンティアゴデクーバで大規模ミサを主催し、27日にはキューバの守護聖人とされる「カリダデルコブレ聖母像」の発見から400年を祝う式典に出席する。その後、首都ハバナでラウル・カストロ国家評議会議長(80)と会談する。
法王は「新体制」の必要性について言及した際、「マルクス主義は時代遅れだ」と言明、国際社会が望む開かれた国家を構築する必要があると強調しており、議長にも抜本的な社会改革を迫るとみられる。
バチカン(ローマ法王庁)によれば、病気療養中の議長の兄、フィデル・カストロ前議長(85)と法王が会談する可能性もあるという。
欧米諸国はこれまで、反体制派を抑圧するキューバ政府を厳しく非難してきた。同国政府はこれに対し、政治犯釈放の仲介役を務めてきたカトリック教会の頂点に立つ法王を手厚く迎えることで、欧米の批判をかわしたい意向だった。しかし、訪問前に早くも、冷水を浴びせ掛けられた形だ。
キューバとバチカンは59年の革命以降、長らく反目してきた歴史を持つ。カストロ前議長は60年代、革命政権転覆を狙う反体制派を支援する神父や尼僧らを次々と国外追放し、教会の資産も没収した。
しかし、冷戦崩壊が和解をもたらし、96年にはカストロ前議長がバチカンを訪問した。その後のヨハネ・パウロ2世のキューバ訪問で、雪解けが加速した。
キューバではこれを機に、カトリック信者でもキューバ共産党員になることができるなど、宗教規制が大幅に緩和されたが、教会がメディアを利用したり、宗教教育を行ったりすることには制限が設けられていた。