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2012/03/02

【放射能汚染】 土壌の放射能性セシウムの濃度より落葉層の放射性セシウムの濃度の方が高い=林野庁

【福島第1原発の現状】(2012年3月1日)落ち葉に高濃度セシウム
 森林土壌の測定結果公表
 林野庁は1日、福島県内の森林391地点で実施した落ち葉や土壌の放射性セシウム濃度の測定結果を公表した。最も濃度が高かったのは、浪江町入北沢の1平方メートル当たり856万ベクレル。同町や双葉町など、東京電力福島第1原発から北西方向の地域で高濃度のセシウムが検出され、地面に落ちた葉や枝の方が土壌より濃度が高い傾向が見られた。

 環境省によると、これまで河川など水源の調査では、セシウムはほとんど検出されていない。豪雨などで落ち葉や土壌が流出した場合は汚染が拡大する恐れもあるが、通常の雨や雪解け水は地中にしみこむため、落ち葉などに付着したセシウムは流出しにくいという。

 林野庁は住宅地などとの境目に近い森林の除染対策は示してきたが、全体の除染は手付かずになっている。落ち葉や土壌の流出を防ぐ柵の設置や、間伐などによる除染の効果を検証しており、4月をめどに結果をまとめる方針だ。

 土壌の放射性セシウム濃度では、文部科学省が昨年約2200地点で実施した調査で、最大2946万ベクレル(福島県大熊町)が検出されている。

 (共同通信)

2012/03/02 00:12





平成24年3月1日

農林水産省
福島県の森林における土壌等に含まれる放射性セシウムの濃度の測定結果について






農林水産省は、平成23年度第2次補正予算により、福島県内の森林の落葉層と土壌に含まれる放射性セシウムの濃度の調査を実施し、その結果を地図上にとりまとめました。
調査の結果、

・落葉層と土壌の放射性セシウムの濃度の高い地点、1平方メートルあたりの放射性セシウムの蓄積量の多い地点の分布は、平成23年12月27日に公表した空間線量率の高い地点の分布と同じ傾向を示すこと

・ほぼ全ての調査点で土壌よりも落葉層の放射性セシウムの濃度の方が高いこと

などがわかりました。

今回の結果のみならず、他の調査や実証試験の結果等を踏まえながら、引き続き森林の除染や森林からの放射性物質の拡散防止等に向けた取組を進めてまいります。

1 調査結果
福島県内の森林で採取した落葉層(落葉や落枝からなる堆積有機物層)及び土壌(表層5cmまで)の放射性セシウム(Cs-134、Cs-137)の濃度の測定結果を、濃度別に色分けを行い地図上に表示した分布地図を作成しました(別添1-1から1-5を参照ください。)。

(1)空間線量率と落葉層や土壌の放射性セシウム濃度との関係について
落葉層と土壌の放射性セシウムの濃度の高い地点や1平方メートルあたりの放射性セシウムの蓄積量(落葉層、土壌、落葉層と土壌の合計)の多い地点の分布は、平成23年12月27日に農林水産省が公表した空間線量率の高い地点の分布と同様の傾向を示しました。つまり、空間線量率が高い地点であるほど、落葉層や土壌の1キログラム当たりの放射性セシウム濃度や1平方メートル当たりの放射性セシウムの蓄積量が多い傾向であり、いずれも相互に正の相関があることがわかりました。


(2)同一調査点における落葉層と土壌の放射性セシウム濃度について

調査点毎の落葉層と土壌の放射性セシウムの濃度を比較すると、ほぼ全ての地点で土壌の放射性セシウムの濃度より落葉層の放射性セシウムの濃度の方が高いことがわかりました。



(3)文部科学省の航空機モニタリングによる測定結果との比較について
今回の測定結果による落葉層と土壌の合計の放射性セシウムの蓄積量を、文部科学省が実施・公表している航空機モニタリングによる放射性セシウムの沈着量の測定結果の分布図と同じ濃度別の色分けで重ね合わせたところ、放射性セシウムの蓄積量の高い地点の分布は概ね一致していましたが、航空機モニタリングの測定結果よりも低い地点がみられることがわかりました(別添2を参照ください。)。
これは、

・文部科学省が実施する森林地帯を対象とする航空機モニタリングでは、森林の上層部の樹冠等に分布している放射性セシウムからのガンマ線も含めて評価を行っているのに対し、今回の農林水産省の調査は、森林の地表部分だけの測定であること。

・独立行政法人 森林総合研究所が実施した森林内の放射性物質の分布状況の調査結果(平成23年12月27日付け農林水産省プレスリリース「森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(第二報)」)から、常緑針葉樹林のスギ林やアカマツ林では地表部分の落葉層や樹冠の葉の放射性セシウムの濃度が高く、福島県川内村のスギ林では、森林内に分布している放射性セシウムの58%が地上部の樹木に、残りの21%が落葉層に、21%が土壌に分布していることが明らかとなっていること。

などから、このような違いが現れたものと考えられます。


(4)考察

以上のことから、特にスギやアカマツなどの常緑針葉樹の葉は、通常3~4年程度かけて地表面に落葉することから、森林の除染を進めるにあたっては、継続的な落葉層の除去を行っていくことが効果的と考えられます。