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2012/02/16

融資契約書には、監査法人からの問い合わせに対し、同行が担保の内容については回答しないとする条項が盛り込まれていた

融資契約に口止め条項、オリンパス前会長が署名



光学機器大手「オリンパス」を揺るがした損失隠し事件は、元経営トップの逮捕に発展した。

 東京地検特捜部に金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで16日、逮捕された同社前会長・菊川剛容疑者(70)は営業畑が長かったが、損失を飛ばしていた海外ファンドに融資した外国銀行に対し、監査法人の照会に答えないよう依頼する融資契約書に自ら署名するなど、中心的な役割を担っていったという。特捜部は、この融資契約は、飛ばしの発覚を防ぐ隠蔽工作だとみて、全容解明を目指す。

 関係者によると、問題の契約は、前副社長の森久志容疑者(54)と前常勤監査役、山田秀雄容疑者(67)が1998年、コンサルタント会社社長の横尾宣政容疑者(57)から紹介された、リヒテンシュタインのLGT銀行との間で交わされた。

 オリンパスの預金や債券を担保に、同社が飛ばしのために英領ケイマン諸島に設立したファンドに、同行が融資する内容。ファンドは同行からの融資約300億円を元手に、同社の含み損を抱えた金融商品を買い取った。

 融資の担保にした預金や債券は自由に引き出せなくなるうえ、預金や債券が担保となっていたことが発覚すると、飛ばしの計画が破綻する恐れがあったが、融資契約書には、監査法人からの問い合わせに対し、同行が担保の内容については回答しないとする条項が盛り込まれていた。

(2012年2月16日17時35分 読売新聞)




「損失隠し理解し署名」=第三者委調査に不満も-菊川容疑者
 オリンパスの粉飾決算事件で逮捕された前社長菊川剛容疑者(70)は、逮捕前の東京地検特捜部の事情聴取に、外国銀行との融資契約書への署名について「損失隠しに利用することを知った上でサインした」と述べるなど、関与を認めていた。一方で、同社の第三者委員会の調査結果内容には、「事実と違う部分がある」と周辺に不満を漏らしていた。

 関係者によると、損失の海外への「飛ばし」に利用したリヒテンシュタインの銀行との融資契約の際、菊川容疑者が契約書に署名しており、特捜部は認識を裏付ける証拠とみて聴取で追及した。

 菊川容疑者は、第三者委の調査には「事情を知らずに署名した」と説明していたが、聴取には損失隠しへの利用を認識していたと認めたという。(2012/02/16-19:48)

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012021600938






損失状況 菊川前社長に定期的報告
2月18日 4時2分
オリンパスの粉飾決算事件で、オリンパスでは、会社が抱えた損失の状況が内々に報告書にまとめられ、これを基に、年に2回程度、菊川前社長に報告されていたことが、関係者への取材で分かりました。
報告書の資料は、そのつど廃棄されていたということで、東京地検特捜部は、前社長の損失隠しへの関わりを裏付けるものとみています。

オリンパスの前社長の菊川剛容疑者と、元副社長の森久志容疑者、それに元監査役の山田秀雄容疑者は、巨額の損失を隠して、平成19年と20年に会社の資産を1000億円以上多く見せかける粉飾決算を行っていたとして、逮捕されました。

弁護士によりますと、菊川前社長は調べに対して容疑を大筋で認めているということです。
関係者などによりますと、当時、巨額の損失は社内でトップシークレットとされ、森元副社長と山田元監査役が、担当の社員に、具体的な金額や預金の残高などを報告書にまとめさせていたということです。

そのうえで、年に2回程度、定期的に菊川前社長に報告され、報告が終われば、関係資料は、そのつど廃棄されていたということです。
特捜部は、菊川前社長が損失隠しに関わっていたことを裏付けるものとみて、さらに捜査を進めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120218/t10013111361000.html