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2012/02/18

環境省、放射性物質の東京湾流入調査

東京湾 流入の放射性物質調査
2月17日 17時32分
 原発事故によって首都圏などにも広がった放射性物質が、雨などとともに東京湾にどの程度流れ込んでいるかを調べるため、環境省は17日、東京湾に通じる隅田川と荒川で川の水や川底の泥の調査を行いました。

原発事故を受けて環境省は、これまで東北と関東の8つの県の河川で放射性物質の濃度を分析してきました。しかし、都内を流れる河川は調査対象に入っておらず、1日、東京都が「首都圏の各地から放射性物質が運ばれていると考えられる」として、東京湾や都内の川を調査するよう環境省に要請していました。

17日は、委託を受けた調査会社の調査員3人が、東京湾に通じる隅田川の河口近くにかかる両国橋の上と荒川の河川敷から、ロープに結んだバケツをつるして川の水およそ5リットルをくみ上げたほか、専用の機械を使って川底の泥およそ1キロを採取しました。

調査会社の古殿太郎主査研究員は「正確な値を出せるよう心がけて調査している」と話していました。

 東京湾に流れ込む放射性物質については、国よりも先に専門家による調査が去年から行われており、近畿大学の山崎秀夫教授が、東京湾の29か所で海底の泥を調査した結果では、最も高かった旧江戸川の河口付近で1キログラム当たり872ベクレル、荒川の河口で846ベクレルの放射性セシウムが検出されています。山崎教授は「東京湾の魚の調査では、暫定基準値を大幅に下回る数値が出ており、食べても健康に影響はない」としたうえで、「今後2、3年の間は、雨や川の流れによって放射性セシウムを含んだ土が東京湾の河口に流れ込み続けると考えられる。国が数値に変化がないか定期的に調べる必要がある」と話しています。

17日に採取された水と泥は、調査会社の研究施設で放射性セシウムの濃度などを調べる検査が行われ、環境省はおよそ1か月後に結果を公表する予定です。

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120217/t10013102251000.html






東京湾の水・泥・生物、放射性物質を調査へ



 東京湾に流れ込む隅田川と荒川の河口付近で、環境省が17日から、川の水や川底の泥について放射性物質の濃度を調べることがわかった。

 文部科学省も4月以降、湾内の海水や海底の泥、生き物の調査を行う。「江戸前の魚を食べても大丈夫か」「子どもを水辺で遊ばせたいが不安」といった住民からの相談が増えていることもあり、実態把握に乗り出す。

 環境省が調べるのは、隅田川の両国橋と荒川の葛西橋付近で、3月末までに最初の調査結果を公表する。文科省は東京湾に流れ込む主な河川の河口周辺や沿岸、湾の中央部分で、表層部分の水や海底土を採取し、濃度を調べる。湾内の海洋生物についても地元自治体と協力して調べる方針。

 環境省などによると、福島第一原発事故で放出された放射性物質は風に乗って運ばれ、雨とともに関東平野に降下し、河川に入る。専門家は河川を通じて閉鎖性の高い同湾に入った放射性物質が海底で濃縮する可能性があると指摘している。

(2012年2月16日03時06分 読売新聞)






千葉16地点 濃度に濃淡 河川の放射性物質把握へ 環境省 都内でも本格測定
2012年2月18日 朝刊

 東京電力福島第一原発事故による河川への影響を調べようと、環境省は十七日、東京都と埼玉県内の荒川と隅田川で、放射性物質の濃度を測定する調査を実施した。首都圏の広範囲に拡散した放射性物質がどこにたまり、どのように東京湾などに移動しているのかを調べる目的で、同省による都心での河川の測定は初めて。 

 調査は、隅田川の両国橋(中央、墨田区間)、荒川の葛西橋(江東、江戸川区間)、御成橋(鴻巣市)、笹目橋(戸田市)の四カ所で行った。河川の水や川底の泥を採集し、放射性物質濃度(一キログラム当たり)を測定。詳しい結果は三月ごろに判明する。

 同省は、首都圏では昨年八月の茨城を皮切りに千葉、栃木、群馬の四県で行い、結果を公表。

 東京湾に流れる千葉県内の十三の河川や運河など十六地点で行った測定では、川底の泥に含まれる放射性セシウムの濃度が一〇〇〇ベクレル以上の数値を測定した地点が八つあり、海老川の八千代橋付近(船橋市)で六四〇〇ベクレルを測定した。

 一方で、一〇〇ベクレル以下だった地点も三カ所あり、結果に濃淡があった。いずれも、国がそのまま埋め立てできるという基準にしている八〇〇〇ベクレルを下回っていた。

 同省の担当者は「今は、河川の中で放射性物質がどうなっているのかデータを蓄積している。今後、データの推移を見ながら、移行メカニズムも把握したい」と話した。

 同様の調査は大学などの研究機関でも行われており、全国の河川や海約三百地点の放射性物質濃度の測定をしている東京大学の鯉渕幸生准教授によると、放射性セシウムは粘土質のものに吸着しやすく、河川の中では浮遊しながら動いているが、途中で沈んでたまりやすい場所があるという。