東京電力福島第1原発事故で、国会の事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は15日、4回目の会合を開き、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長と内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長から事情を聴いた。寺坂氏は保安院の能力について「専門性、知見、習熟度において、米国などと比較すると十分なものではない」と認めた。
当時の保安院トップが能力不足を認めた発言は、事故の背景に規制制度の欠陥があることを改めて浮かび上がらせた。(2012/02/15-20:21)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012021500952
2トップ、福島事故で謝罪 「言い訳に時間をかけた」「私は文系で…」
2012.2.15 22:20 [放射能漏れ]
国会が設置した東京電力福島第1原発事故調査委員会(委員長・黒川清元日本学術会議会長)の第4回委員会が15日、国会・衆院別館で開かれ、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長と経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が、原子力の安全規制当局として事故を防げなかったことについて陳謝した。
班目氏は津波や全電源喪失に備える原発の安全指針について「瑕疵(かし)があったと認めざるを得ない。おわびしたい」と謝罪。指針が改善されなかった背景について「低い安全基準を事業者が提案し、規制当局がのんでしまう。国がお墨付きを与えたから安全だとなり、事業者が安全性を向上させる努力をしなくなる悪循環に陥っていた」と言及し、「わが国は(対策を)やらなくてもいいという言い訳に時間をかけ、抵抗があってもやるという意思決定ができにくいシステムになっている」と述べた。
寺坂氏は平成16年の美浜原発配管破断事故などを挙げ、「(保安院は)安全規制を進めようとしていたが、個別の問題の改善や安全確保に相当な時間や人員をとられた」と釈明した。
官邸への助言など、事故当時のそれぞれの行動について、班目氏は「1週間以上寝ていないのでほとんど記憶がない。私がいた場所は固定電話が2回線で携帯も通じず、できる助言は限りがあった」と説明。寺坂氏は「私は文系なので、官邸内の対応は理系の次長に任せた」と述べた。
また、放射性物質の拡散予測システム(SPEEDI)を避難に活用しなかったと政府事故調などで指摘されていることについて、班目氏は「SPEEDIがあればうまく避難できたというのは全くの誤解だ」と反論。寺坂氏は「避難方向など何らかの形で有用な情報になったのではないかという思いはある」と述べ、異なる認識を示した。
黒川委員長は委員会後の会見で「安全委員会と保安院は安全を担う使命を持っているが、緊急時の備えができておらず、事故がない前提で原子力行政を推進するなど、国民の安全を守る意識が希薄だ」と批判した。
脆弱な対応浮き彫り 国会事故調で安全委と保安院(02/15 21:04)
原子力安全委員会の班目委員長と原子力安全・保安院の寺坂前院長が、国会の事故調査委員会に参考人として出席しました。安全規制当局として事故を防げなかったことを謝罪しましたが、当時のぜい弱な対応振りが浮き彫りになりました。
「原発安全指針に瑕疵」 班目委員長が謝罪
立地の抜本見直しを主張
2012/2/15 21:51
国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(委員長・黒川清日本学術会議元会長)は15日、第4回委員会を国会内で開き、班目春樹・原子力安全委員長らから話を聞いた。班目委員長は「安全審査指針類に瑕疵(かし)があったことは認めざるを得ない」と述べ、事前の安全対策が不十分だったと謝罪した。
班目委員長は原発の立地条件を定める「立地審査指針」の基準について「抜本的な見直しが必要だ」と述べた。現行の指針を「敷地周辺に被害を及ぼさないように定めたとしか思えない」と指摘。福島第1原発事故で放射性物質が大量に放出されたことから、指針を改める必要があるとの考えを示した。ただ指針をどう見直すかや原発再稼働への影響については言及しなかった。
また炉心溶融などの過酷な事故に関しては「今までのように『日本では起きない』という言い訳が通用しないのは明々白々だ」と規制強化の必要性を強調した。
一方、寺坂信昭経済産業省原子力安全・保安院前院長は、事故直後に次長を残して首相官邸を離れた経緯を「私は事務系なので、よく分かった人間が残った方がいい」と考え、保安院に戻ったことを明らかにした。その後、官邸とは数回電話連絡しただけだったという。
黒川委員長は「(前)院長自身に専門性がない」と述べ、班目委員長とともに「国民の安全を守る意識も希薄だと感じた」と批判した。
原子力規制庁が4月に発足すると、現在の原子力安全委員会や保安院は活動を終える。