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2012/02/07

福島第1原発2号機にホウ酸水注入  再臨界の可能性は否定=東電

東日本大震災:福島第1原発事故 2号機にホウ酸水注入 70度前後を推移
 東京電力福島第1原発2号機で圧力容器底部の温度が急上昇した問題で、東京電力は7日未明、再臨界を防ぐためのホウ酸水を原子炉内に注入したと発表した。冷却のための炉内への注水量も毎時10・5立方メートル(10・5トン)から同13・5立方メートル(13・5トン)に増やし、昨年12月の事故収束に向けた工程表のステップ2達成宣言後で最大の量になった。同日午前10時現在の温度は69度と高止まりしている。


 ホウ酸水の注入は7日午前0時19分から同3時20分まで実施された。注入量は約1トンだった。ホウ酸水の注入は昨年11月に同原発2号機で、燃料の核分裂が連続する「再臨界」の可能性を示す放射性キセノンが検出された時以来になる。細野豪志原発事故担当相は7日、閣議後の記者会見で、「政府としても責任を持って対処していく」と述べた。

 2号機の圧力容器底部には三つの温度計が設置されている。このうち二つは同日午前10時現在、約42度だが、残りの一つは5日夜に70度を超え、その後も70度前後を推移している。6日の検査では、キセノンなどの放射性物質は検出されなかったという。

 温度上昇の原因について、東電は、凍結防止用に冷却水用の配管を1月末に交換したことで炉内の水の流れが変わり、溶け落ちた一部燃料に水が十分当たらなくなった可能性があるとしている。

 7日午前の会見で、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「未臨界と確認している。ホウ酸水注入は万全を期すためで、温度を注意深く観察していきたい」と話した。【神保圭作】

毎日新聞 2012年2月7日 東京夕刊





注水増でも2号機、71.5度に上昇-再臨界防止で未明にホウ酸水(3)
 2月7日(ブルームバーグ):東京電力の福島第一原子力発電所2号機原子炉の温度が再上昇した問題で、東電は7日注水量を増やしたが温度に大きな変化は見られず、午前中に70度を割った2号機圧力容器下部の温度は午後1時現在で71.5度に再び上昇した。

  東電によると、7日午前10時に69度だった温度は、11時69.6度、午後0時70度とわずかながらも上昇した。昨年9月末に100度を下回り、今年1月は50度前後で推移していたが、2月に入ってから上昇し5日午後に70度を超えた。6日午前7時に73.3度に達して以降の圧力容器下部の温度は70-72度で推移していた。

  松本純一原子力・立地本部長代理は温度上昇の原因について「はっきりしたことはまだ分からないが、配管を切り替えた際に注水量を調整したことが大きな要因とみている」と述べた。給水系からの注水はこの際にゼロに絞ったという。

  東電は7日未明、再臨界を防止するために原子炉にホウ酸1094キログラムを混ぜた水を注入した。午前4時24分からは炉心スプレイ系からの注水量を毎時3.7立方メートルから6.7立方メートルに増やしたほか、給水系からの注水も6.8立方メートルに増やした。

  松本氏は、再臨界の可能性について放射性物質キセノン135が検出限界値の10分の1程度であることなどから「再臨界には達していない」と説明した。

  東電としては、原子炉の温度がおおむね100度以下で推移する「冷温停止状態」の判断を変えていないが、松本氏は「注水増量後の推移を1日程度観察したい」との方針を示した。

  野田佳彦首相は昨年12月16日、福島第一原発が冷温停止状態に入ったとし、事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が終了したと宣言していた。

更新日時: 2012/02/07 14:22 JST







福島第1の2号機、温度上昇傾向続く 再臨界は否定
東京電力
 2012/2/6 20:07 (2012/2/7 2:00更新)

 東京電力は6日、福島第1原子力発電所2号機の圧力容器底部の温度が同日午後5時時点で69.2度だったと発表した。73.3度だった同午前7時よりも若干下がったが、2月に入ってから上昇傾向が続いている。東電は冷却のために原子炉に入れる水の流れが変わったためとみており、注水量を段階的に増やして温度変化を注視している。

 2号機の圧力容器底部温度は昨年9月末に100度を下回り、今年1月は50度前後で推移していた。しかし2月1日から上昇に転じ、5日の午後には70度を超えた。温度が上昇傾向にあるのは3つの温度計のうち1つだけで、残り2つはほぼ変化がない。

 東電は炉内の水の流れが変わり、燃料の冷却効果が下がったためとみている。6日の記者会見では核分裂が連続して起こる「再臨界」の可能性は否定した。

 東電は同日夜から、2号機への注水量を1時間あたり10.6トンから13.6トンに増やす準備を始めた。これに先立ち、再臨界を防止する働きのあるホウ酸を960キログラム入れた。原子炉へのホウ酸投入は、昨年11月2日に2号機で半減期(放射性物質の量が半分になる期間)が短い放射性キセノンが検出され、再臨界が疑われた時以来となる。

 昨年12月に宣言された「冷温停止状態」を満たすには、圧力容器底部の温度が100度以下になっていなければならない。温度計には約20度の誤差が考えられ、底部の温度を80度以下に保つことが求められている。

 経済産業省原子力安全・保安院は6日、事故後初めて、福島第1原発の保安検査を始めた。3週間かけて、注水設備や汚染水の浄化装置など7つの設備を点検し、冷温停止状態が維持できる体制が整っているかどうか確認する。





2号機原子炉 注水増やし確認へ
2月6日 21時34分
東京電力福島第一原子力発電所の2号機の原子炉で、温度計の1つの値が70度前後と、ここ4日間で20度ほど上昇していることを受けて、東京電力は、6日夜のうちに原子炉への注水量を増やして、その後の温度の傾向を確かめることにしています。

福島第一原発の2号機では、原子炉の底にある温度計の1つが、先月27日には45度前後を示していたのが、その後、徐々に温度が上がって、5日午後4時には71.7度となり、特にこの4日間で20度以上と急激に上昇しています。このため東京電力は、6日午前1時半ごろに、原子炉への注水量を1時間当たり1トン増やして10.6トンとする対策をとりました。ところが、午前7時に73.3度を記録し、その後も、午前11時に71度、午後5時でも69.2度と、温度が高い状態が続いています。
この状況を受けて、東京電力は、6日夜のうちにも、原子炉への注水量をさらに1時間当たり3トン増やして、その後の温度の傾向を確かめることにしています。
一方、原子炉の底にあるほかの2つの温度計は、先月下旬以降変わらず、44度程度を示しているということです。
東京電力は、配管の工事に伴って、原子炉に水を入れる2つのルートのうちの1つをいったん止めて再開したところ、水の流れが変わり、溶け落ちた燃料の一部を十分に冷やせなくなった可能性が高いと説明しています。また、原子炉の周辺で気体の調査をした結果、核分裂が連続して起きる「臨界」のときに発生する放射性物質の「キセノン」は検出限界以下で、「臨界が起きていないことが確認できた」としています。
福島第一原発では、去年12月、政府と東京電力が1号機から3号機の原子炉で100度以下に下がったとして、「冷温停止状態」を宣言していますが、原子炉の状態は依然、詳しく把握できない状況が続いています。
東京電力は「冷温停止状態を受けて定められた新たな規定では、原子炉の温度を80度以下に抑えるよう求められている。注水量を増やして、温度が下がる傾向になるか、様子を確かめたい」と話しています。

保安院“総合的に判断”
今回の温度上昇について、経済産業省の原子力安全・保安院は、「複数の温度計があり、1つの温度計で一時的に80度を超えたとしても、原子炉の冷却に問題が起きているとは考えない」として、「冷温停止状態」が維持できているかどうかについては、「温度の条件だけでなく総合的に判断する」と話しています。
原子炉の冷温停止状態を維持するため、東京電力は先月、「保安規定」を見直し、原子炉の底の部分の温度を80度以下に維持するよう定め、原子力安全・保安院も見直しの内容を了承しました。
これは、冷温停止状態の条件の1つ、原子炉の底の温度が100度以下という方針に対し、温度計の計測に最大で20度の誤差があるためで、仮に今後、80度を超えれば、東京電力は、原子炉への注水量を増やすなど、緊急的な対策を取ることが求められます。
これについて原子力安全・保安院は、ほかにも2か所で原子炉の底の温度を測っており、おおむね45度前後で安定していることなどから、「1つの温度計で一時的に80度を超えたとしても、原子炉の冷却に問題が起きているとは考えない」として、「冷温停止状態」が維持できているかどうかについては、「温度の条件だけでなく総合的に判断する」と話しています。
しかし、今回の事態は、メルトダウンした核燃料など、原子炉の内部の状態を把握できていないことを改めて浮き彫りにしたことになり、こうした状況の中で「冷温停止状態」と判断した根拠などについて、国は納得のいく説明をすることが求められます。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120206/k10015820341000.html



【Q&A/福島第1原発2号機の温度上昇】発熱続ける燃料 冷却水の流れ変化か

 東京電力福島第1原発2号機の圧力容器底部の温度が上昇、70度前後の状態が続いている。

 Q 何が起きているのか。

 A 原子炉停止後も、燃料は「崩壊熱」を出し続ける。現在の発熱量は運転中の4千分の1程度だが、冷却をやめると温度が上がる。核分裂の連鎖反応が再び起きる「再臨界」もあるが、判断基準となるキセノン135が検出されておらず、東電は可能性を否定している。


 Q 水を入れて冷やし続けていたのでは。

 A その通りだが、圧力容器底部の外側に取り付けた3個の温度計のうち1個が徐々に上昇した。1日には52度だったが、6日午前7時には73・3度に上昇。その後も70度前後のままだ。


 Q 大丈夫なのか。

 A 今回の事故で政府と東電が決めた冷温停止状態の条件の一つは、圧力容器底部の温度が100度以下。ただ東電は、温度計には20度程度の誤差があるとみており、80度以下に保つことが必要だ。東電は別の2個の温度計は45度付近で安定しているため、原子炉の全体としては冷却できているとしている。


 Q 原因は。

 A 原子炉には冷却のため、炉心スプレー系と給水系という2系統から水を入れているが、1月下旬に配管を交換した際に水の量を変え、それ以降、温度が上昇し始めた。東電は、この時に水の流れ方が変わり、溶けて散らばっているとみられる燃料に水が十分にかからず、熱が出ている場所があるとみている。


 Q 水の流れ方とは。

 A 通常は毎時数千トンの水を流す太い配管を使っているが、現在流している水は毎時数トンと1%にも満たない量。チョロチョロと流れる水が届かない部分があるらしい。


 Q 対策は。

 A 東電は注水量を増やし、7日は合計で毎時13・5トンにした。昨年6月に汚染水を浄化して炉心へ戻す循環注水冷却を始めて以降、最多の量。温度が下がらなければ、さらに注水量を増やすことを検討している。


 Q 安定した状態になったのではなかったか。

 A 溶けた燃料がどこにどんな形で存在しているのか、水位はどのぐらいあるかなど、中の状態は全く把握できていない。1月にも2号機の圧力容器底部の温度計が100度超を示したことがあり、この時は計器不良とされた。さまざまな機器の信頼性に不安が残り、安定しているとは言い難い。

 (2012年2月7日、共同通信)

2012/02/08 10:46