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2012/01/21

先月12日、「もんじゅ」制御棒に原因不明の動作トラブル 保安院の公表遅れる

もんじゅで原因不明トラブル、存廃論議に拍車も
 経済産業省原子力安全・保安院は20日、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、制御棒の駆動機構に不具合が生じたとして、同機構に原因究明と再発防止を指示した。

 保安院によると、不具合が生じたのは昨年12月12日。駆動機構19基のうち、1基が動作確認試験で稼働せず、2日後の再試験で動いた。さらに別の1基も動かず、機構は、原因を究明できないとして工場で分解点検する方針。

 公表が遅れた点について保安院は「制御棒がすべて挿入されていた上、機構側が地元で公表していた」と釈明した。もんじゅは現在、原子炉に制御棒が挿入された状態で、安全性に問題はない。しかし、東京電力福島第一原発事故を受けて政府がもんじゅの存廃を含めた原子力政策全般の見直しを進めており、不具合は議論に拍車をかけそうだ。

(2012年1月20日21時57分 読売新聞)



制御棒動作トラブルで報告指示
1月21日 4時22分
福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で、先月行われた原子炉の制御棒を動かす装置のテストの際に、装置が動かないトラブルがあり、運転上重要な機器のトラブルであることから、国の原子力安全・保安院は、日本原子力研究開発機構に原因と再発防止策を報告するよう指示しました。

原子力機構によりますと、先月12日、運転停止中の「もんじゅ」の原子炉の制御棒を動かす装置が正常に動作するかどうか制御棒を引き抜いてテストしようとしたところ、装置が動かなかったということです。

原子力機構が調べたところ部品などに異常は見つからなかったということで、2日後に再び動作させたところ、正常に動いたということです。

これを受けて、トラブルが起きたものと同じ型の装置5台についても正しく動くか確認したところ、このうち1台で同様のトラブルが起き、20日、再度動かしたところ正常に動いたということです。

この1台についても部品に異常は見つかっておらず、トラブルの原因は分かっていません。このため国の原子力安全・保安院は、運転上重要な機器のトラブルであるとして、原子力機構に来月末までに原因と再発防止策を報告するよう指示しました。

一方、原子力安全・保安院は、先月のトラブル直後に原子力機構から連絡を受けていましたが、これまで公表していませんでした。これについて、原子力安全・保安院は「制御棒も入っていて、原子炉が安全な状態だっため、原子力機構の対応の状況をみていた」と説明しています。






もんじゅ:制御棒、一時動かず 原子力機構、原因究明へ 「安全上致命的」指摘も /福井
 日本原子力研究開発機構は20日、停止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)で昨年末から、原子炉内の核分裂を抑える制御棒19本のうち2本が一時的に動かないトラブルがあった、と発表した。既に復旧したが、原子力機構は制御棒を駆動させる装置に原因があるとみて、メーカーに送って調べる方針。経済産業省原子力安全・保安院は同日、2月中に原因究明するよう原子力機構に指示した。

 もんじゅの制御棒は、運転中の出力調整に使う13本と、炉内の出力に異常があったときに緊急用に使う6本があり、今回のトラブルはこの6本のうちの2本。

 原子力機構によると、先月12日の点検中に制御棒1本が動かないことが分かった。昨年11月に駆動装置を取り付け直しており、ケーブルをつなぎ直すなどして2日後に復旧させた。他の駆動装置を点検したところ、もう1本が動かないことが分かった。

 制御棒の駆動装置はいずれも90年に設置され、これまでトラブルが起きたことはなかったという。原子力機構は「制御棒はすべて原子炉に挿入された状態で、安全上の問題はない」としている。

 しかし、もんじゅに関する著書がある元京都大原子炉実験所講師の小林圭二さんによると、商業用の軽水炉では原子炉内の出力を制御棒と炉内の水のホウ酸濃度で調整することができるが、もんじゅは水の代わりにナトリウムを使用し、ホウ酸は使えないため、制御棒だけで出力を抑える必要がある。小林さんは「もんじゅにとって、制御棒のトラブルは安全上、致命的だ」と指摘している。【柳楽未来】

毎日新聞 2012年1月21日 地方版






もんじゅ制御棒に不具合=動作試験で一時動かず-保安院、1カ月後に公表
 運転停止中の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)で昨年12月、制御棒を動かす駆動機構の点検の際に一時動かないトラブルがあり、経済産業省原子力安全・保安院は20日、もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構に対し、原因の究明と再発防止策の策定を指示した。

 保安院はトラブル直後に原子力機構から報告を受けていたが、「制御棒はすべて入っており、事業者の対応を見ていた」として、同日指示を出すまで公表していなかった。

 保安院と原子力機構によると、運転停止中のもんじゅは常用の制御棒13本のほか、予備の制御棒6本があり、すべて炉内に挿入されている。

 原子力機構は昨年12月12日、予備のうち1本を引き抜く試験を始めたが、制御棒駆動機構のモーターが動かず、引き抜けなかった。再度試験したところ正常に動いたが、約1週間後に行った別の制御棒の試験でも同様のトラブルが発生。この日の動作試験では正常に動いたが、原因が分からないため、保安院が指示を出した。

 原子力機構は、最初のトラブルが起きた後の昨年12月16日、一部の報道機関に口頭で伝えたと説明。しかし、週1回公表する作業状況の広報文にはトラブル以前と同様に「制御棒駆動機構点検」としたままで、1月13日まで「動作不調」の記述はなかった。(2012/01/20-20:52)

 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201201/2012012001021