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2011/12/05

このシステムではストロンチウムは除去できず、漏れた水は、海水に放出できる基準の約百万倍という高濃度のストロンチウムを含むとみられる

福島第1原発の汚染水漏れ、一部が海に流出か
2011年12月05日 19:46 発信地:東京
【12月5日 AFP】東京電力(TEPCO)は5日、福島第1原発で放射能汚染水の処理装置からの水漏れが見つかった問題で、汚染水約300リットルが海に流れた可能性があると発表した。

 前日4日、放射能汚染水を淡水化する処理システムの蒸発濃縮装置周辺に漏れ出した水45トンがたまっているのが見つかっていた。漏れた水の大半は装置のある建屋内にとどまっていたが、約300リットルが、海に通じる近くの側溝に漏出したとみられるという。

 東電は土のうなどを使って漏出を止める作業を行った。水は放射性セシウムや放射性ヨウ素で汚染されていたが、濃度は同原発付近の海水とほぼ同じか、やや高い程度だったとしている。また汚染水は他の有害物質、中でも内部被ばくが問題とされるストロンチウムも含むとみられるが、分析には2~3週間かかるという。

 3月11日の東日本大震災発生後の数週間に、東京電力は福島第1原発で発生した低濃度の放射能汚染水約1万トンを太平洋に放出している。(c)AFP






福島第一 汚染水45トン漏れる
2011年12月5日 朝刊

 東京電力は四日、福島第一原発の高濃度汚染水の処理システムのうち、淡水化するための蒸発濃縮装置の建屋内で約四十五トンの水漏れが見つかったと発表した。建屋外にも漏れており、約五百メートル先の海に流れ出た恐れもある。このシステムではストロンチウムは除去できず、漏れた水は、海水に放出できる基準の約百万倍という高濃度のストロンチウムを含むとみられる。

 今回の水漏れは、高濃度汚染水の処理システムが六月に稼働して以来、最大。

 東電によると、四日午前十一時半ごろ、作業員が建屋の床一面に五センチほど水がたまっているのを確認し、装置を停止。放射性セシウムは除去後だったため、表面線量はガンマ線で毎時一・八ミリシーベルト程度。しかし、ストロンチウムが放出するベータ線は毎時一一○ミリシーベルトと高く、水に触れ続けると、やけどのような「ベータ線熱傷」を起こす恐れがある。

 ストロンチウムは、骨にたまり長期間被ばくするため、危険性が高いとされる。

 水が漏れた原因は不明だが、建屋外に漏れた形跡が四カ所で見つかった。一つは、水をせき止めるコンクリート(高さ約四十センチ)の土台のひび割れ部分だったが、土台と壁の隙間から漏れた箇所もあり、実際にはもっと大量の水が漏れた可能性もある。水漏れは前日には確認されなかった。

 水は、海とつながる側溝まで届いた跡があり、東電は土のうでふさぐ措置を取った。五日以降、水漏れの範囲などを調べる。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「たとえ海に到達しても少量で、ほとんど影響ないレベルだ」と話している。