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2011/11/09

ホルタオソリオ氏は今年3月のCEO就任直後、経営陣の大幅な入れ替えを行った。前任のダニエルズ氏の下で働いてきた役員のほとんどを退任させ、サンタンデール出身者を多く起用した

ロイズCEOが「疲労」で休養─ロンドン銀行業界に衝撃
2011年 11月 9日 16:45 JST
【ロンドン】就任9か月目を迎えた英銀行大手ロイズ・バンキング・グループのアントニオ・ホルタオソリオ最高経営責任者(CEO)が「極度の疲労」(関係者)を理由に休養に入り、英国の銀行業界に衝撃が走った。


 ロイズは今月2日声明を発表し、ホルタオソリオ氏が「病気のために一時的に休養を取る」ことを明らかにした。ロイズは同CEOが年末までに職務に復帰するとの見通しを示している。

 ホルタオソリオ氏は47歳。同氏の休養入りが伝わると、ロンドンの銀行業界には衝撃が走った。ロイズは2日午前に緊急取締役会を開き、退任予定のティム・トゥッキー最高財務責任者(CFO)を暫定CEOに指名した。ロンドン証券取引所の同日午後の取引でロイズ株は前日比7.5%下落した。

 事情に詳しい複数の関係者によると、ホルタオソリオ氏は昼夜を問わない激務で疲れ切っており、同氏の担当医がしばらく休養を取るように指示したという。ある関係者はホルタオソリオ氏が常勤としてロイズに復帰するかどうかはっきりしていないことを認めた。

 驚いたのはロイズの従業員だ。ポルトガル出身で趣味の1つがシャーク・ダイビング(水中の檻の中から泳ぐサメを観察するレジャー)という同氏は精力的な人物として有名だ。一部の従業員は同氏が健康問題を抱えていることにまったく気づかなかったと語った。

 ロイズは資産規模で英国第3位の銀行で、現在、政府が株式の一部を保有 している。同銀は昨年、当時CEOだったエリック・ダニエルズ氏の後任としてホルタオソリオ氏を採用した。ホルタオソリオ氏はスペインのサンタンデール銀行で英国部門のトップを務めた際に経験豊かな銀行家、カリスマ性のあるリーダーとして評価され、アナリストもロイズの従業員も同氏を歓迎した。ロイズの取締役会は500万ポンド(約6億2000万円)以上の報酬を用意して同氏を迎えた。同氏はこの他にも業績次第で数百万ポンドのボーナスを受け取る可能性もある。

 ホルタオソリオ氏は今年3月のCEO就任直後、経営陣の大幅な入れ替えを行った。前任のダニエルズ氏の下で働いてきた役員のほとんどを退任させ、サンタンデール出身者を多く起用した。暫定CEOに指名されたトゥッキー氏は前CEO時代から役員を務める数少ない人材の1人だが、そのトゥッキー氏も今夏、英生命保険会社フレンズ・ライフ・グループのCEOに就任するとして来年2月に退任する予定を発表している。

 ホルタオソリオ氏はロイズのCEOとして激務に追われていた。同氏は英国の不況とユーロ圏の危機という厳しい環境の中、今年に入り、長期にわたる競争当局との係争を終わらせ、欧州連合(EU)の指示に従って、600以上の支店を売却する計画を前倒ししている。また、さらに多くの支店の売却を求める英国政府の提案に反対する働き掛けも行った。

 今月1日、ホルタオソリオ氏は他の銀行のCEOとともに議会の公聴会に出席する予定だったが、ある関係者によると、同氏はロイズの同僚に電話をかけ、個人的な理由で公聴会に出席できなくなったと伝えた。

 この関係者によると、ホルタオソリオ氏が医師に相談したところ、医師は休養を取るように勧めたという。同氏はその日のうちにロイズのウィン・ビショフ会長に連絡を取り、今後について説明した。

 ホルタオソリオ氏は2日の取締役会に出席しなかったとこの関係者は語った。ロイズの広報担当者は同氏が現在、英国に滞在しているかについてコメントを差し控えた。同氏にもコメントを求めたが、回答はなかった。

 アナリストによると、ロイズがトゥッキーCFOを暫定CEOに指名したのは当然のことだという。ホルタオソリオ氏が役員の大幅な入れ替えを行っているため、ロイズの経営陣として経営豊富な役員が他にほとんど残っていないからだ。

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記者: David Enrich

http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_340076