東京都世田谷区は28日、同区八幡山1のスーパー「パワーラークス世田谷店生鮮の館」脇の歩道で、毎時110マイクロシーベルトの放射線量を検出したと発表した。約25メートル離れた同店敷地内でも、1カ所で30~40マイクロシーベルトを計測。文部科学省などが原因を調べている。
同区によると、同日午後1時半ごろ、区民から「スーパー付近で高い放射線量が検出された」と情報提供があった。区の通報を受けた文科省の測定で、スーパーの敷地から60センチ離れた都道の歩道部分の地表で110マイクロシーベルト、高さ1メートルで4.7マイクロシーベルトを計測。スーパーの正面玄関から6メートルの敷地内に置かれたプラスチックコンテナ付近では地表で30~40マイクロシーベルト、高さ1メートルで10マイクロシーベルトを計測した。局所的に数値が高く、他に異常値が検出された場所はない。
文科省が核種を調べようとスペクトルメーターで計測したが、特定できなかった。2地点ともアスファルト舗装で、水がたまるような場所ではない。コンテナの大根からも異常は確認されなかった。
同区は「(文科省から)原因物は地中にあるのではないかと説明された。原発事故の影響である可能性は低いと推測される。通行するだけで健康に影響があるとは考えにくい」と話している。
現場の歩道には土のうが積まれ、通行が禁止された。同店近くに住む美容師の男性(45)は「よく利用する店だし不安だ。原因を早く究明してほしい」と話した。【黒田阿紗子、馬場直子】
毎日新聞 2011年10月28日 22時13分(最終更新 10月29日 1時25分)
世田谷の放射線量、再測定で「健康被害ない」
東京都世田谷区八幡山のスーパー敷地に隣接する歩道脇で毎時約110マイクロ・シーベルトの放射線量が検出された問題で、文部科学省は29日、精密な機器で再測定した結果、測定値は同170マイクロ・シーベルトだったと発表した。
同30~40マイクロ・シーベルトとしていた同敷地内の駐車場での値も、同110マイクロ・シーベルトに修正した。いずれも土のうを積むなど放射線の遮蔽措置が取られており、同省は、健康被害の恐れはないとしている。
スーパー敷地は、1960年頃から駐車場として使用されており、99年に現在の店舗が建てられたという。地中に埋まっている物質が原因の可能性が高く、同省では、東京電力福島第一原発事故との関連は低いとみている。同省は今後、区や土地所有者らと協議し、舗装部分を掘り返すなどの調査を行う。現場付近ではこの日、朝から警備員が立ち、歩行者に近づかないよう誘導した。スーパーは、安全が確認されるまで休業するという。
(2011年10月29日11時42分 読売新聞)