福島第一原子力発電所の事故を巡り、東京電力が社内に設置した「福島原子力事故調査委員会」(委員長=山崎雅男副社長)の中間報告案の詳細が明らかになった。
2号機で水素爆発があったとする従来の見解を覆し、爆発はなかったと結論付けた。事故を招いた津波について「想定できなかった」と釈明し、初期対応の遅れについても、「やむを得なかった」との見解を示すなど、自己弁護の姿勢が目立つ。東電は、社外有識者による検証委員会に報告案を諮った後、公表する方針だ。
同原発では、1号機の原子炉建屋が3月12日午後に水素爆発を起こしたのに続き、14日午前に3号機が水素爆発した。さらに15日早朝、爆発音が響き、4号機の建屋の損傷が確認された。爆発音の直後に2号機の格納容器下部の圧力抑制室の圧力が急落したため、東電は2、4号機でほぼ同時に爆発が起きたとし、政府も6月、国際原子力機関(IAEA)に同様の報告をしていた。
(2011年10月2日03時03分 読売新聞)
2号機“水素爆発ではなかった”
10月2日 7時43分
東京電力福島第一原子力発電所の事故について、東京電力が会社内に設置している事故調査委員会のこれまでの調査で、2号機で起きたとされる爆発は、水素爆発ではなかったという見解をまとめていることが分かりました。
福島第一原発の事故では、3月12日午後に1号機が水素爆発を起こしたのに続いて、14日午前に3号機でも水素爆発が起き、15日早朝に2号機と4号機でほぼ同時に爆発が起きたとされていました。
このうち15日早朝の爆発について、東京電力が会社内に設置した事故調査委員会がこれまでにまとめた中間報告の案によりますと、爆発は、原発敷地内の地震計に記録されていた振動の分析から、午前6時すぎの1回だけで、振動の波形などから4号機の水素爆発とみられ、2号機では水素爆発は起きていないということです。
ただ、2号機は、ほぼ同じ時刻に原発の原子炉を収める格納容器の下部にある圧力抑制室の圧力が急激に下がっていることから、何らかの原因で圧力抑制室などが損傷したみられるということです。東京電力は、会社内の事故調査委員会でまとめた中間報告の案について、今後、社外の専門家からなる検証委員会でさらに調査や検証を重ねたあと、中間報告として公表する方針です。
2号機、水素爆発でない可能性も=IAEA報告と異なる内容-東電
東京電力福島第1原発事故で、東電は2日、同原発2号機に関し、日本政府が6月に国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書とは異なり、水素爆発がなかった可能性があることを明らかにした。
東電は、社内の事故調査委員会で事故状況に関する中間報告書を作成しており、こうした内容を盛り込んだ上で年内にも公表する方針。
IAEAへの報告書には、同原発2、4号機から爆発音が相次いだ3月15日について、2号機の格納容器につながる圧力抑制室付近で午前6時ごろ、「水素爆発によるものと思われる大きな衝撃音が確認された」との記述がある。
しかし、東電によると、第1原発の敷地内に設置していた仮設地震計を解析した結果、同日早朝に地震とは異なる震動が計測されていたのは午前6時12分の1回だけだったとされる。震動の特徴から、2号機の圧力抑制室付近で衝撃音が聞こえたのとほぼ同時に起きた4号機の水素爆発によるものとみられるという。(2011/10/02-20:42)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011100200220