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2011/07/01

日本原子力研究開発機構、「原子炉内部のほかの装置にも傷がついている可能性もある」

もんじゅ接合部に変形やすき間 炉内中継装置、分解点検へ
(2011年7月1日午後6時49分)





 日本原子力研究開発機構は1日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器内に落下し、先に回収を終えた炉内中継装置の接合部に変形やすき間を確認したと発表した。週明けから約10日間かけて、分解点検を行い詳しく調べる。

 落下した同装置は2本の筒を8本のピンでつなぎ合わせている。昨年11月には特殊な器具を使い原子炉容器内で内面、外面を観察した結果、装置の接合部が変形していることを確認した。分析の結果、落下の衝撃で上の筒の接合部が約5ミリ外側に張り出し、上ぶたの穴に引っ掛かると推定。「スリーブ」と呼ばれる上ぶたの一部と一体で引き抜いた。

 引き抜きの作業途中の目視観察では、接合部の変形やすき間を確認。つなぎ合わせているピンは全て残っていた。燃料交換の際に燃料容器をぶら下げる部分の駆動軸に変形がみられた。

 原子力機構は同装置を洗浄後、分解点検を行う。





もんじゅ 落下装置の先端に傷
7月1日 6時56分
去年、14年ぶりに運転を再開した、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で、原子炉内に落下して、6月に回収された装置を調べたところ、装置の先端に僅かに傷がついていることが分かりました。日本原子力研究開発機構は、原子炉内部のほかの装置にも傷がついている可能性もあるとみて、詳しく調べることにしています。

高速増殖炉「もんじゅ」は、去年5月、ナトリウム漏れ事故以来14年ぶりに運転を再開しましたが、去年8月、核燃料を交換するための、長さ12メートル、重さおよそ3トンの金属製の装置が原子炉内に落下し、装置が原子炉のふたに引っ掛かり、抜けなくなりました。

このため原子力機構は、先月24日に装置を回収し、異常がないか点検してきました。

その結果、筒状になった装置のつなぎ目の部分が変形していたうえ、先端部分に接触してこすれたような、幅およそ10センチの傷がついていることが分かりました。

先端の傷は、装置が落下した際に、原子炉内部のほかの装置に接触してついた可能性もあるということで、原子力機構は、ほかの装置にも傷がついている可能性もあるとみて、近く、装置を分解し、詳しく調べることにしています。

もんじゅは、ことしの春以降に発電を目指すとしていた計画が大幅に遅れ、さらに福島第一原発の事故の影響も出るとみられていて、先行きが不透明になっています。








もんじゅ:運転継続「議論段階ではない」 知事、装置落下の評価が先 /福井
 高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)の今後のスケジュールについて、西川一誠知事は28日の県議会一般質問で、「運転継続について議論する段階ではない」と述べ、福島第1原発の事故を受けた安全面の確認や、炉内中継装置が原子炉内に落下した影響の評価が先との見解を示した。もんじゅを運転する日本原子力研究開発機構は、次の主要な性能試験となる40%出力試験を今年度中に始める計画だが、知事の発言は同試験の開始時期を巡る議論にも影響しそうだ。【安藤大介】

 細川かをり議員(無所属)の質問に答えた。細川議員は「(福島の事故で)原発のシビアアクシデント(過酷事故)を『想定内』として考えなければならない。(プルトニウムを燃料とし、ナトリウムを冷却材に用いる)もんじゅの過酷事故は想像を絶する」と述べ、知事の今後の運転継続についての考えをただした。

 知事は、「落下し、引き抜かれた炉内中継装置について国が検証し、原子炉容器内に影響がなかったかどうか評価することが必要だ。全電源喪失事故時のナトリウムの挙動など、もんじゅ固有の課題の有無についても再検証が必要だ」と答弁した。


毎日新聞 2011年6月29日 地方版