東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、各地の浄水場や下水処理場で放射性物質を含む汚泥が排出されている問題で、処分先が見つからないなどの理由で施設内に保管されている汚泥や焼却灰は、14都県で少なくとも約12万トンに上ることが28日、厚生労働省と読売新聞の調べで分かった。
自治体からは「早期に国が処分先を確保すべきだ」という声が出ている。
浄水場については、厚労省が宮城、山形、福島と関東甲信越、静岡の計14都県を対象に、12日現在の脱水汚泥の保管状況を調べ、28日公表した。
下水処理場については読売新聞が、これらの都県及び各県庁所在地、政令市が把握している脱水汚泥や汚泥の焼却灰などの状況を27日までに集計した。
(2011年7月29日03時02分 読売新聞)
浄水場に汚泥9万トン 14都県、放射性物質で処理進まず
2011/7/28 23:40
厚生労働省は28日、福島第1原発事故の影響で、近隣の14都県の浄水場に9万1917トンの汚泥が処理できずに保管されていると発表した。このうち処分先が決まっているのは953トン(1%)のみ。半分以上は放射性物質の調査もできておらず、同省は「処分や再利用のあり方を検討したい」としている。
同省は先月中旬から今月12日に同原発周辺の14都県に浄水場から出る汚泥の放射性物質や処理状況を調査。14都県で9万1917トンの汚泥があり、放射性物質の調査を終えているのは3万7286トンと半分以下で、1557トンは埋め立て処分できる国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)を上回っていた。
未測定の汚泥は5万4631トンある。国土交通省によると、下水道処理場でも同様に放射性物質を含む汚泥が保管されており、今月22日時点で13都県で約2万5000トンに上るという。多くは「埋め立て先などがない状態」(同省)という。
処分できない濃度 1557トン
7月29日 6時38分
東北や関東各地の水道水の浄水場から見つかっている放射性物質を含む汚泥は少なくとも5万トン近くに上り、このうち埋め立て処分ができない濃度の汚泥が1557トンあることが厚生労働省の調査で分かりました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、各地の浄水場では水道水を処理したあとに残る汚泥から放射性セシウムが検出されるケースが相次いでいます。
厚生労働省が調べたところ、こうした放射性セシウムを含む汚泥は、東北と関東甲信越、それに静岡県の14都県で4万9250トンに上ることが分かりました。
このうち埋め立て処分ができない1キログラム当たり8000ベクレルを超える濃度の汚泥は福島県や宮城県など5つの県で1557トンに上り、最も高かったのは福島県郡山市の豊田浄水場で見つかった1キログラム当たり8万9697ベクレルでした。
こうした汚泥の76%が浄水場の敷地の中に保管されたままで、大半が処分先が決まっていないほか、まだ放射性物質が含まれているかどうか測定されていない汚泥も5万4千トン余りあるということです。今回の調査を受けて厚生労働省は、汚泥の処分方法を検討することにしていますが、保管場所に悩む自治体が多く、処分や保管場所の確保を巡って難航することが予想されます。
◆放射性セシウムに汚染された浄水場脱水汚泥の量(単位トン)
8000ベクレル超~10万ベクレル以下 100ベクレル超~8000ベクレル以下
宮城 505 2068
山形 0 0
福島 530 1169
新潟 293 3240
茨城 0 756
栃木 123 633
群馬 106 772
埼玉 0 11020
東京 0 6912
神奈川 0 2078
千葉 0 5253
長野 0 0
山梨 0 0
静岡 0 50
合計 1557 33950
毎日新聞 2011年7月29日 東京朝刊