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2011/05/24

1号機~3号機、鋼鉄製の格納容器も、地震後24時間以内に損傷していた可能性

格納容器本体も損傷か…地震後24時間内で


 東京電力は、福島第一原子力発電所の炉心溶融(メルトダウン)について詳しいデータ解析を行い、1~3号機では、圧力容器だけではなく、その外側を覆う鋼鉄製の格納容器も、地震後24時間以内に損傷していた可能性があることが分かった。

 解析結果の報告書は23日に経済産業省原子力安全・保安院に提出された。

 報告書によると、東電が原子炉の運転データに基づいて地震後の圧力などの状況を詳しく計算したところ、1号機では、緊急冷却用の「非常用復水器」が十分に働かず、炉心溶融の進行によって、地震後15時間で圧力容器の底部が破損。炉心溶融に伴って格納容器の温度も上がり、同18時間で設計温度の138度を大幅に上回る約300度に達した。温度はその後も上がり続けたと推定される。

 格納容器は、運転時に300度近い高温と70気圧もの高圧にさらされる圧力容器と異なり、設計上の温度・圧力条件が低く設定されている。300度を超す高温では、格納容器で配管や機器の貫通部を密閉しているゴムや金属が耐えられずに劣化してしまい、放射性物質を含んだ蒸気が漏れ出したとみられる。

(2011年5月24日21時53分 読売新聞)







東電、2・3号機でもメルトダウンと公表



 事故発生から2か月以上。東京電力がようやく認めました。福島第一原発の事故で、東京電力は2号機と3号機でも「メルトダウン」が起きていたとする報告書を公表したうえで、圧力容器が損傷し、一部の燃料が格納容器にまで溶け落ちる「メルトスルー」が起きた可能性についても認めました。

 「こういった解析を事故発災当時にできなかったのかという話がありますが、原子炉への注水を安定的に継続させることに集中していたということになります」(東京電力の会見)

 24日に公表された東京電力の報告書。それによりますと、2号機は3月14日の午後1時25分に冷却機能がすべて失われ、水位の低下が始まりました。このまま水が減り続け核燃料が露出したと仮定すると、6時間半後の午後8時頃には、燃料が溶け始めたといいます。また3号機では、3月13日の午前2時42分に冷却機能がすべて失われ、6時間あまりたった午前9時頃に燃料が溶け始めたとみられます。

 JNNの取材に対し、複数の政府関係者は1号機から3号機でメルトダウンが起きた可能性をすでに認めていました。これまで「データが得られていない」として評価を見送って来た東京電力。しかし、分析の結果得られたシナリオはそれだけではありませんでした。

 1号機から3号機。「メルトダウン(炉心溶融)」はそのすべてで起きていました。東京電力は分析の結果を、こうまとめています。

 「炉心は一部溶融したものの、圧力容器の損傷には至っていない。ただし、実際の水位がより低い状態を想定した場合には、圧力容器の損傷に至るとの解析結果となる」(報告書より)

 一読すると、さほど大きな事態に至っていないようにも見えます。しかし、カギとなる「水位」。現在、水位計は「水が燃料棒の半分まである」と表示されていますが、1号機同様故障し、ほとんど水が溜まっていない可能性が高いのです。東京電力も「水位が表示より低かった場合、燃料のほぼすべてが圧力容器の底に溶け落ちた可能性が高い」と分析しています。

 さらに・・・。
 「高温の溶融したペレットが触れることで、(圧力容器の底が)損傷受けている可能性はあると思っています。燃料そのものも一部は圧力容器から格納容器に移っている、落下していると」(東京電力の会見)

 燃料が溶け落ちる「メルトダウン」。さらに、溶けた燃料が圧力容器を壊し外側の格納容器にまで達する、いわゆる「メルトスルー」が起きた可能性についても認めたことになります。

 「継続的に炉心に注水することで、今後、大きな事象の進展はないと考えています」(東京電力の会見)

 「事態は悪化しない」。その言葉を信じることはできるのでしょうか。(24日17:23)









2・3号機も炉心溶融、圧力容器損傷か 東電が報告書
2011/5/24 10:45
 東京電力は24日午前、東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の事故状況を分析した報告書を発表した。2、3号機も、1号機と同様に炉心溶融(メルトダウン)を起こしており、原子炉圧力容器が損傷している可能性が高いことが分かった。大部分の燃料は圧力容器内にあると考えられるが、一部は圧力容器の外にある格納容器に漏れた可能性があるという。圧力容器内に注水を続けていることで、安定的に冷却できているとしている。

 東電は23日夜、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。

 報告書では、3月11日の地震発生直後の原発のデータなどをもとに、1~3号機のプラントの状況を推定した。

 原子炉内の水位が下がり燃料棒がすべて露出したと想定すると、2号機は地震による自動停止の約101時間後、3号機は約60時間後には、すでに燃料棒の大部分が溶融していたとの内容を盛り込んだ。

 圧力容器も損傷し「2、3号機とも燃料の一部は圧力容器の外に漏れ出した可能性も考えられる」と記者会見で東電は説明した。

 東電は炉内の水位計が正しい数値を示した場合と、水位計のデータは信頼できず燃料棒がすべて露出した場合の2つに分けて解析した。

 2、3号機はいずれの場合も、水位が低下して炉心温度がセ氏約2800度まで上昇。2号機では3月14日午後8時ごろ、3号機は13日午前9時ごろに炉心損傷が始まったとした。

 原子炉の水位が1号機のように下がっていたとすれば、2号機は3月15日午後8時ごろに、3号機では14日午前3時ごろに、大部分の燃料が圧力容器の底部に落下する炉心溶融の状態になっていると推測した。

 ただし、現在測定されている圧力容器周囲の温度などから、圧力容器の損傷は限定的だと分析。燃料の大半は圧力容器内にあると考えられ、容器内に注水を続けていることで、安定的に冷却できているとしている。

 また1~3号機の格納容器では温度がセ氏300度を超え、耐熱温度のセ氏138度を上回ったため損傷したと推定。これによって原子炉内のほぼ全量の放射性希ガスなどが漏れ、外部に放出されたという。

 東電は、1号機についても地震発生当日の3月11日午後7時50分ごろに一部の燃料が圧力容器底部に落下し、12日午前6時50分ごろには大部分が溶け落ちたとの推定結果を発表している。




















福島第1原発事故の経緯

▼3月11日
午後2時46分 東日本大震災発生
2時47分ごろ 1~3号機が緊急停止
2時52分 1号機の非常用冷却装置が自動起動
3時ごろ 1号機の非常用冷却装置を手動停止
3時40分前後 1~3号機の全交流電源喪失
7時30分ごろ 1号機で燃料棒が露出し、損傷が始まる

▼3月12日
朝 1号機で炉心溶融
午後3時36分 1号機が水素爆発

▼3月13日
午前9時ごろ 3号機で炉心損傷始まる

▼3月14日
午前3時ごろ 3号機で炉心溶融
11時1分 3号機が水素爆発
午後8時ごろ 2号機で炉心損傷が始まる

▼3月15日
午前6時10分すぎ 2号機の一部で爆発音、原子炉格納容器の一部損傷
午後8時ごろ 2号機で炉心溶融