震災・原発事故対応に追われている菅直人政権にとって厳しい結果
都知事に石原氏4選、北海道・三重知事選も民主敗北-統一地方選(1)
4月11日(ブルームバーグ):統一地方選挙のうち12道府県知事選と41道府県議会議員選挙などの投開票が10日行われた。東京都知事選では現職の石原慎太郎知事が4選を果たした。与野党対決の構図となった北海道、三重県の知事選では民主党の推薦候補が自民党などの推す候補に破れ、震災・原発事故対応に追われている菅直人政権にとって厳しい結果となった。
東日本大震災と収束の見通しが立っていない東京電力福島第一原子力発電所事故が今回の統一地方選にも影を落とした。被災地の岩手県知事選・県議会議員選、宮城、福島の両県議選などが延期。テレビのニュース番組も震災と原発事故が中心となり、統一選に関する報道は控えめだった。
明治学院大学の川上和久教授は、統一地方選結果が今後の政権に与える影響について「菅首相へのリーダーシップに対する不安が国民の間で高まっている。地方選挙の結果と、菅首相への不満が、菅降ろしにつながっていく可能性があると思う」と指摘していた。
民主党の岡田克也幹事長は11日未明に発表した談話で、自らの地元である三重県知事選の敗因について「擁立が遅れ、十分に候補者の主張を浸透しきれなかった」と分析。北海道知事選に関しては「知名度で絶対的に優位に立つ現職知事を相手に一定の理解をもらうことができた」と振り返った。
枝野幸男官房長官は11日午前の会見で、統一地方選の敗因について聞かれたが、「震災対応に全力を投入することが求められている状況で、私から結果についてだけコメントするのは適切ではない」と回答を避けた。
国難
統一地方選結果を受け、野党は菅首相への批判を強めている。石原都知事の長男で自民党の石原伸晃幹事長は10日夜のNHKの開票速報番組で、北海道知事選などで民主党推薦候補が敗北したことについて「民心が離れた政権で国難に対処していけるのか。菅首相はそこの所をしっかりと受け止めて対応してもらわないと大変なことになる」と菅政権は国民からの支持を失っているとの認識を示した。
共同通信によると、公明党の山口那津男代表も11日の記者会見で、民主党の敗北について「大敗を喫し国民から事実上の不信任を突き付けられた。与党は謙虚に受け止めてほしい」と指摘した。
これに対し、枝野氏は会見で、今後の政権運営について「しっかりと責任を果たしていくことが重要だと思っており、野党の皆さんも『だれが』ではなくて『何をどうやるのか』ということでご判断してもらえると思う」と述べ、引き続き菅首相の下で野党の協力を得て震災対策に取り組むことは可能との考えを強調した。
政局
岩井奉信日大法学部教授は、今後の政局について「民主党の敗北はすでに織り込んでいるが、菅首相ではやっぱりだめだという声は高まり、政権運営は厳しくなるだろう」と指摘。その上で、「震災対応をしている今は政局にはできないから、時期的には福島原発の状況がある程度収束して、2次補正がテーマとなる5月から6月にかけての話だ」との見通しを示している。
都知事選には石原氏のほか、東国原英夫前宮崎県知事、居酒屋チェーンを展開する「ワタミ」の前会長、渡辺美樹氏、前共産党参院議員の小池晃氏ら11人が立候補していた。自民党は党本部に石原氏のポスターを掲示するなどして支援、民主党本部はいずれの候補への推薦も出さなかったが、都議会民主党が独自に渡辺氏を支援していた。
北海道知事選では自民の推薦する高橋はるみ知事、三重県知事選では自民、みんなの両党が推薦する元経済産業省課長補佐、鈴木英敬氏がいずれも民主党推薦の新人候補を破った。
北海道など41道府県議会議員選の投開票でも民主党は苦戦した。総務省によると、党派別の当選者数で自民1119人に対し、民主は346人にとどまった。この他の政党は、公明171人、共産80人、みんな41人、社民30人。たちあがれ日本1人。
更新日時: 2011/04/11 13:10 JST