福島第1原発事故で、東京電力は12日、東日本大震災が発生した3月11日に同原発1~6号機にあった全放射能量のうち、放射性ヨウ素131など(ハロゲン類)は100分の1程度が外部に放出されたとの推定結果を発表した。ヨウ素131などは震災発生時、8100万テラベクレル(テラは1兆)あったという。
国の原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院が12日午前、国際原子力事故評価尺度(INES)の評価をチェルノブイリ原発事故と同じ最悪のレベル7に引き上げた際、放射性物質の放出量(ヨウ素131換算)をそれぞれ63万テラベクレル、37万テラベクレルと推計。東電はこの数値と比較した。
記者会見した東電の武藤栄副社長はレベル7の評価について「極めて重く受け止めている。心より深くおわび申し上げたい」と陳謝した。
松本純一原子力・立地本部長代理は「チェルノブイリ原発事故の放出量は520万テラベクレルと推定され、今の福島第1原発の放出量はその10分の1程度」と説明。大半は水素爆発が起きた際に放出されたとの見方を示し、「今後放出量が10倍、100倍と増える可能性は小さいが、ゼロではない」と述べた。
一方、東電は12日午後7時半すぎ、2号機の海水配管トンネルにたまった高濃度の放射能汚染水を立て坑からポンプでくみ上げ、タービン建屋の復水器に回収する作業を始めた。2号機の取水口付近から海に直接流出していた高濃度汚染水は6日に止まったが、立て坑の水位が上昇。汚染水の拡散を防ぐため取水口付近を鉄板で封鎖した。(2011/04/12-22:57)
放出放射能量 100分の1程度
4月13日 4時47分
原子力事故の深刻さで最悪の「レベル7」と評価された東京電力福島第一原子力発電所の事故で、これまでに外部に放出された放射性物質が持つ放射能の量は、放射性ヨウ素で事故の発生当時、1号機から6号機にあった量の100分の1程度と推定されると東京電力が明らかにしました。
東京電力は、福島第一原発で事故が発生した先月11日の時点で、1号機から6号機の原子炉や使用済み燃料プールにあったすべての放射性物質が持つ放射能の量を推定し、12日、公表しました。推定量は「希ガス」と「放射性ヨウ素」、「それ以外の放射性物質」に分けて出されています。
このうち「放射性ヨウ素」では1号機が原子炉と燃料プールをあわせて1800京ベクレル、2号機と3号機はそれぞれ3200京ベクレル、4号機が420兆ベクレルなどとなり、1号機から6号機まで合わせて8100京ベクレルと推定されています。
一方、福島第一原発からこれまでに放出された放射性ヨウ素の放射能の量は、事態の深刻さを表す国際的な基準で「レベル7」と評価された際の原子力安全・保安院の試算で13京ベクレルとなっていて、東京電力では「誤差などを考慮すれば、事故の発生当時にあった放射性ヨウ素のうち100分の1程度が外部に放出されたと考えられる」としています。
また、事故から1か月後の11日の時点で、福島第一原発にあると推定される放射性物質の持つ放射能の量は、外部に放出されていないと仮定した場合、放射性ヨウ素で44京ベクレルと、この1か月で100分の1以下にまで減っているとしています。