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2011/04/11

東電は10日、同原発で作業をしていた協力会社の30代男性が体調不良を訴え病院に搬送されたことを明らかにした

汚染水の移送作業が難航、作業員の病院搬送も
2011年 4月 11日 9:51 JST

【東京】福島第1原発での放射性物質汚染水の海への流出を抑えるための作業が遅れている。

 低レベル汚染水の放出が完了すれば、2号機にたまった高濃度汚染水を貯蔵するスペースができ、通常の冷却システム回復に向けた作業の高い障害が解消される。しかし、9日に完了を予定していた放出は、10日夜の時点でも完了していない。

 別の流出経路があるかもしれないとの懸念から、東京電力は9日、海への流出を防ぐため、取水口を鉄板でふさぐ作業を開始した。また、カーテン状の「シルトフェンス」を設置する計画だとしている。

 東電は10日、同原発で作業をしていた協力会社の30代男性が体調不良を訴え病院に搬送されたことを明らかにした。この男性はこの日2号機でホース設置作業をしていた。作業開始から体調不良を訴える午前11時10分頃までに男性が浴びた放射線量は4.84ミリシーベルト。この日の作業中の上限は5ミリシーベルトだったという。



 2号機タービン建屋のトレンチにたまった高濃度汚染水を建屋内の復水器に移す作業も遅れている。東電は10日に作業を開始する予定だとしていた。しかし、広報担当者はその後、施設内の安全点検に予定以上の時間がかかっているため同日には作業を開始できないと述べた。

 この作業は、太平洋への高濃度汚染水の流出を食い止めるカギだ。海に近いコンクリートのピットにひび割れがあるため、流出は6日に止水剤を投入するまで続いた。

 同日には流出が止まったが、原子力安全・保安院の西山審議官によると、10日朝までにトレンチの汚染水の水位が12センチほど上昇し地上まで92センチとなった。同審議官は、安全を確認することはもちろん重要だが、作業を急ぐ必要があるとしている。

 東電は1号機の原子炉へ窒素注入について、水素爆発を避けるためとしている。西山審議官は、窒素注入により同機の原子炉の圧力が徐々に高まっていると述べた。


食品への懸念 

 厚生労働省は9日、福島県いわき市沖で採れたコウナゴから基準値を超える放射性物質が発見されたことを明らかにした。これを受け、海洋生物への影響、日本の食品の安全性、水産業界の存続への懸念が高まっている。

 同省によると、福島第1原発から約30キロ南のいわき市沖合1キロで7日に採取されたコウナゴから検出された放射性セシウムは、国の基準1キログラム当たり500ベクレルを上回る570ベクレル。茨城県北部近くで先週採取されたコウナゴからは、国の基準1キログラム当たり2000ベクレルを上回る4080ベクレルの放射性ヨウ素と526ベクレルのセシウムが検出されていた。

 福島や近隣の県では、がんなどの疾患を引き起こす恐れのある放射性物質が原乳、ホウレンソウ、ブロッコリーなどから検出されている。ただ、政府は10日、茨城県の原乳については新たな検査で安全が確認されたとして出荷停止を解除した。

 コメについては、土壌1キログラム当たり5000ベクレルを超えるセシウムが発見された水田での作付けを制限すると8日に発表している。

 当局者らは、放射線量の基準は厳しく、摂取しても直ちに人体に影響はないとしている。しかし、長期的な健康へのリスクに対する不安は払しょくされていない。放射性ヨウ素131の半減期は8日だが、甲状腺に蓄積しがんの原因となる恐れがある。特に子どもが危ない。セシウムの半減期は約30年。

 こうした懸念から、日本の農産品の輸入を禁止したり、制限したりする国が出ている。中国は先週、食料・飼料の輸入禁止対象を5県から東京など12都県に拡大した。

記者: Andrew Monahan