ページ

2011/03/23

3、4号機では原子炉や「使用済み核燃料一時貯蔵プール」に真水を供給するポンプを稼働させる作業…黒煙発生で作業員退避

3、4号機に真水供給作業…煙で作業員退避



 電源の復旧作業が進む東京電力福島第一原子力発電所で23日、1~3号機の中央制御室の計器類に電気が届き、3、4号機では原子炉や「使用済み核燃料一時貯蔵プール」に真水を供給するポンプを稼働させる作業が行われた。

 しかし、同日夕には3号機で黒っぽい煙が発生したため作業員らが退避するなど、作業は難航している。

 東電によると、3号機では、原子炉や燃料プールに真水を送り込む補給水系ポンプの稼働試験に向けた作業が行われたほか、新たに仮設の消防ポンプを貯蔵プールにつなぎ、海水約35トンを注水した。

 1号機では、計器類が回復したことで原子炉の状態をより詳しく把握できるようになった。同日朝には炉内温度が設計温度を約100度上回る400度以上を記録し、炉内の注水量を増やして冷却した。その結果、温度は下降し、同日午後2時には330度に下がった。しかし、今度は炉内の圧力が上昇し、監視を強化している。

 4号機では、外部電源を使って補給水系の復旧を目指すとともに、3号機と同様に仮設ポンプを使った貯蔵プールへの注水を検討している。

 3号機の煙は、同日午後4時20分頃に原子炉建屋付近で確認され、作業員11人が退避した。電源回復に向けた作業が中断した。2時間後には煙がほぼおさまったという。3号機では21日夕にも、灰色がかった煙が発生。いずれも火災によるものとみられる。

 一方、東京消防庁と横浜市消防局の緊急消防援助隊は23日夕、3号機に対して約2時間の放水を予定していたが、煙が出たことを受けて中止。敷地内で待機していた隊員らは午後4時半頃に撤退した。23日の放水は見送られ、24日以降、再開するかどうか検討を進めている。

 自衛隊では23日午後、3号機から煙が出る前に、陸自ヘリが同原発の上空を旋回し、原子炉の様子などをビデオに収めた。このほか、炉内の温度が上がった1号機周辺に化学防護車2台を派遣、消防車両が地上から放水するスペースがあるかどうかを調査し、放射線量の測定を実施した。

(2011年3月23日20時43分 読売新聞)