「義援金をこちらの口座に振り込んでください」。東日本大震災の被災者支援を装い、振り込みを要求する不審なメールや電話が全国で相次いでおり、警察や国民生活センターなどが注意を呼び掛けている。
ネット検索大手ヤフー(東京)によると、「Yahoo!インターネット募金」との文言で、義援金を募るうそのメールなどが13日以降、複数確認された。ヤフーでは、こうした方法の募金は実施しておらず、担当者は「憤りを感じる。警察に相談し注意喚起を続けたい」と話した。
「ポイントを購入することで募金にご協力いただけます」。こう記したメールを不特定多数に送り付け、記載されたアドレスをクリックさせ、出会い系サイトへ誘導する悪質メールも拡大中だ。日本データ通信協会(東京)は「地震と書いてあればみんな読まずにはいられない。今後も同種のメールが増えるだろう」と警戒する。
個人情報収集を狙う「フィッシングサイト」も確認された。フィッシング対策協議会(東京)によると、あるサイトは地震発生の11日に開設されたとみられ、英語で「寄付」や「日本人に希望を」と呼び掛けながら、名前やメールアドレスを入力させようとするものという。
電話での振り込みの誘いも。岡山県津山市に住む30代の女性には、14日昼、同市職員を名乗る男の声で「義援金を送る活動をしています」と電話があった。岡山県警は振り込め詐欺とみて捜査中だ。
国民生活センターは、義援金を団体を通じて送る際は、確かな団体かどうか確認するよう呼び掛けている。(共同)
[2011年3月16日23時25分]
地震に便乗した商法に注意 国民生活センター呼び掛け
「被災した家屋の修理契約を当社と結べば、行政から補助金が出る」―。国民生活センターは過去の例から、大規模な地震の後は地震災害に便乗した悪質な商法が横行するとして、被災地やその周辺地域での注意を呼び掛けている。
同センターには既に「南関東の実家を訪れた工事業者が『屋根瓦が壊れている。修理が必要だ』と言うので、両親が契約してしまった」といった相談が寄せられている。センターは「被害に遭いそうになったときや遭った場合は、近くの消費生活センターや消費者ホットライン、警察に相談してほしい」としている。
過去の地震災害では、耐震診断や耐震工事、停電への不安に乗じたソーラーシステムの訪問販売などの相談例があった。清掃や壊れた家屋にブルーシートを掛けるボランティアを装い高額な料金を請求するケース、公的機関を思わせる名称で耐震診断を勧誘するケースなどもあるという。
また「家屋の補修費や当面の生活費を貸し出す」として返済保証金を入金させながら金を貸し出さない「保証金詐欺」、日本赤十字社などと名乗ってはがきや電子メールで義援金を募る「義援金詐欺」が横行する可能性もある。国民生活センターは「義援金を寄付する際は、確かな団体の正規の口座と確認して送ってほしい」としている。
2011/03/16 18:12 【共同通信】