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2011/03/18

18日、東京消防庁の特殊車両が投入  もっと早い段階で投入できなかったのか。

警察の次に消防、背景に政府内の混乱



 福島第一原発では3号機への放水作業のため18日、東京消防庁の特殊車両が投入されたわけですが、もっと早い段階で投入できなかったのでしょうか。背景には、政府内部の混乱があるようです。

 18日未明、福島第一原発に向けて出発した東京消防庁の特殊車両。「屈折放水塔車」は22メートルの高さから毎分3.8トンの放水ができるという特別な能力を持っています。

 政府は17日から現地での放水を始めましたが、自衛隊の放水車とともに投入されたのは、「放水のプロ」である消防ではなく、警視庁・機動隊の放水車でした。

 「まずは機動隊、つまり警視庁中心にお願いしているところです」(菅直人首相、17日)

 機動隊の放水車は3号機への放水を試みたものの、使用済み核燃料の貯蔵プールに届きませんでした。ある政府関係者はこう語ります。

 「機動隊の放水車はデモや過激派に対応するためのもので、水平打ちしかできない。それを原発に使う方がどうかしている」(政府関係者A)

 原発の冷却をどう行うのか。菅総理は機動隊の投入が決まる前、警察庁の幹部に怒鳴り散らしていたといいます。

 「何でもいいから一つ、答えを出せ」(菅直人首相)

 菅総理の号令のもと、危険な作業に投入された機動隊。別の政府関係者は、次のように指摘します。

 「最大の過失と言えるのが、発生から今日まで安全保障会議を一度も開いてないことだ」(政府関係者B)

 会議の場に各省庁の幹部に加え、現場の装備などに詳しい課長クラスを一斉に集め、「持っている装備を全部出せ」と指示して確認していれば、機動隊の放水車を出すという結論になるはずはなかったといいます。

 「何としてもこの危機を乗り越える。その陣頭指揮に立ってやり抜きたい」(菅直人首相、15日)

 これまでも「政治主導」をうたう反面、省庁との連携不足が指摘されてきた菅政権。国家の総力をあげて事態に対処すべき今、改めて総理官邸のリーダーシップが問われています。(18日17:06)