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2011/03/22

民主党、復興支援を一元的に束ねる組織創設を検討

東日本大震災:「復興庁」創設検討 被災地支援で政府
2011年3月22日 20時17分 更新:3月22日 23時13分



 政府は22日、東日本大震災の被災地復興に向け省庁にまたがる課題を一元的に調整する「復興庁」のような機関を創設する検討を始めた。枝野幸男官房長官が明らかにした。また、被災者支援への取り組みを徹底させるため各省庁事務方トップの事務次官が出席する被災者生活支援各府省連絡会議(議長・松本龍防災担当相)を同日設置。官僚組織を総動員し、「政治主導」の限界を補う方針。復興を担う「司令塔」の整備が本格化した。

 枝野氏は22日の記者会見で「復興庁」構想について「名称や組織の具体論は別にして、一つのまとまったシステム、組織は当然考えねばならない」と述べ、復興支援を一元的に束ねる組織創設を検討する考えを示した。

 「復興庁」構想は、関東大震災の復興計画を立案した「帝都復興院」などが念頭にある。95年の阪神大震災では首相を本部長とする復興対策本部を設置。総額約5兆円の国費を投入、地方自治体との窓口を果たした。

 東日本大震災では阪神大震災を上回る規模の復興計画が想定される。民主党の安住淳国対委員長は22日、被災した地元・宮城県石巻市の視察報告に首相官邸を訪れ、菅直人首相に「復興庁」新設を要望した。

 新設した連絡会議は、政府の被災者生活支援特別対策本部が指示した支援策の実施状況を事務次官に報告させ、情報を一元化して機動的に被災地ニーズに対応する狙いがある。1日置きに開催し、連絡を密にする方針だ。

 「事務次官会議廃止」を掲げる民主党政権で事務次官が出席する定期会合開催は初めてだが、枝野氏は会見で「閣議の前に各省調整をした従来の事務次官会議とは逆で、指示の徹底を次官に求めるものだ」と説明。連絡会議の副議長を務める片山善博総務相は22日の初会合で事務次官らに指示の徹底と省庁間の連携を求めた。

 ただ、官僚たちの間からは「昔は課長レベルで判断できたものが、『政治主導』で意思決定におそろしく時間がかかり、危機管理に対応できていない」との批判も聞かれる。このため、連絡会議設置で政官の連携を深めると同時に、官僚組織を総動員し政府が総力を挙げられる体制を構築する狙いもあるとみられる。【田中成之】


http://mainichi.jp/select/today/news/20110323k0000m010102000c.html