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2011/03/16

2日続けて火災が発生した福島第1原発4号機。前日の安易な「鎮火」判断が再出火につながった可能性も

東京電力 ずさんな監視態勢露呈に「人手不足」



 2日続けて火災が発生した福島第1原発4号機。前日の安易な「鎮火」判断が再出火につながった可能性も。東京電力は16日、東京都千代田区の本店で断続的に記者会見を開いたが消火活動の状況も説明できず、監視態勢の不備と合わせて、ずさんな危機管理の実態があらわになった。

 東電によると、社員が火災に気付いたのは同日午前5時45分ごろ。緊急事態対策本部がある「免震重要棟」から、中央制御室で使う水位の計測装置に使うバッテリーを運んでいる最中に、原子炉建屋の中に目を向けたところ、内側で炎がくすぶっているのが見えた。

 社員は本部に連絡し、午前6時10分に国と福島県に通報したが、同15分には東電が火が見えなくなっているのを確認している。

 午前6時20分には東電が地元消防に通報。約2時間後に消防車4台、17人で駆けつけたが、周囲は放射線量が高い状態が続いており、出火場所に近づくには消防隊員の防護服が必要になることから、消火活動は行われなかった。東電は「準備も含めて消火活動」と説明している。

 付近では15日朝にも火災が発生しているが、間もなく火が見えなくなり、それ以後消火活動はしていなかったという前日安易に「鎮火」と判断したことで、再出火につながった可能性もある。
[ 2011年3月16日 10:26 ]






ずさん東電 危機連鎖 4号機「鎮火」と思い込み
2011年3月16日 夕刊
 十六日早朝、福島第一原発4号機から再び煙が上がった。同じ場所で十五日にも火災があったのに、東京電力は「ある程度まで行って、(消火を)判断した」と離れた場所から眺めただけで「鎮火」と結論づけていた。その後は消火活動を怠っており、これが二度目の原因になった可能性がある。火災に続いて3号機付近から白煙が立ち、現地は近づけない状況に。連鎖の続く原発の危機に、ずさんな対応が拍車を掛けている。周辺の人たちの恐怖は高まり、東北から首都圏を目指して避難する人も増えている。

 「確認します」「情報がない」。二度目の火災確認から約一時間半近くが過ぎた十六日午前七時すぎ、東電本店で始まった会見で、担当者は報道陣の質問にこう繰り返すばかりだった。出火原因は不明としているが、場所は前日の火災とほぼ同じ。くすぶっていた火が燃えだした可能性は否定できない

 一度目に起きた十五日の火災は午前九時三十八分に東京電力の職員が炎を確認、同十一時に見た目で火が収まっていたことから鎮火と判断した。自衛隊や米軍による消火も検討されていたが、沈静化を受けてか、その後は放置された。

 消火活動では再出火を防ぐため、しっかり鎮火を確認することが基本。この作業を怠っていたことについて東京電力は「(水位が下がっている)使用済み燃料プールに水を入れる検討を優先した」と釈明した。

 一連の福島第一原発の事故では、作業の遅れにより爆発などが次々と連鎖。そのたびに周辺の放射線量が高まり、ますます作業が難しくなるという悪循環が続いている。

 十六日の火災では、地元の消防車四台に消防隊員十七人が乗り込んで現場へ向かい、正門まで到着。そこに、新たな白煙が上がり始めた。事情説明の会見をした東電福島支店の担当者は「3号機付近から出ているように見える」と語ったものの、それ以上の説明はなかった

 「安全を確認できず、人を入れて状況を確認するのは難しい」ことが、コメントを避けた理由。繰り返しの質問に担当者が語気を強める場面もあった。しかし、枝野幸男官房長官は直後の会見で、現地から「格納容器の一部から白煙が出ている可能性が高い」という報告を受けていたことを明らかにした。




15日の4号機火災の鎮火、東電が確認怠る
 福島第一原子力発電所4号機で16日朝に発生した2度目の火災を巡り、東京電力は同日の記者会見で、「1度目の火災で鎮火したことの確認をしていなかった」と、確認を怠っていたことを明らかにした。火災場所は前日と同じ4号機の北西部分で、社員が目視で鎮火したと思い込んでおり、同社のずさんな対応が浮き彫りになった。

 東電の大槻雅久・原子力運営管理部課長が、同日午前6時45分の会見で公表した。1度目の火災は、15日午前9時38分に発生し、東電は同日、「午前11時頃に自然鎮火した」と説明したが、大槻課長は16日、「社員が、目視で炎が見えないのを確認しただけだった。申し訳ない」と謝罪した。実は1度目の火災が鎮火していなかった可能性を報道陣から指摘されると、大槻課長は「放射線量が高くて現場に近づけず、確認できない」と釈明した。

 東電によると、火災確認後、社員が2度消防に通報したが、つながらなかったため、放置していた。

 2度目の火災は16日午前5時45分頃、4号機の原子炉建屋から炎が上がっているのを社員が確認。午前6時20分に消防に通報した。

 東電によると、福島第一原発では通常、協力企業の社員を含めて約800人が作業を行っているが、被曝の危険性が増した15日、70人を残して福島第二原発などへ退避させた。

(2011年3月16日12時45分 読売新聞)