2010年12月1日(水)「しんぶん赤旗」
旧新生党資金 手付けた小沢氏迂回献金疑惑の構図
民主党の小沢一郎元代表は、「政権交代」を掲げた昨年の総選挙で、「小沢チルドレン」の大量擁立など、代表代行としてその陣頭指揮にあたりました。30日公表された2009年分の政治資金収支報告書などで、同氏の異常な資金づくりの構図が浮かび上がってきました。 (「政治とカネ」取材班)
小沢氏の資金管理団体「陸山会」の収支報告書によると、衆院解散前日の昨年7月20日に小沢氏本人から3億7000万円の借入金があり、同22日に同額を小沢氏に返済しています。(図参照)
本紙既報のように、小沢氏が支部長を務める民主党岩手県第4区総支部は、解散当日の7月21日に、旧新生党の政治資金3億7000万円を「改革フォーラム21」から受け取り、22日に陸山会に全額寄付しています。
一方、陸山会は、原口一博前総務相(佐賀1区)、落選中だった樋高剛環境政務官(神奈川18区)、新人の福田衣里子衆院議員(長崎2区)など同党の衆院候補91人の政治団体に各500万円(うち2人は200万円)、総額4億4900万円を寄付しています。うち89人への寄付(計4億4200万円、1人のみ200万円)は7月21日に集中しています。
一連のカネの流れから浮かび上がるのは、小沢氏は、(1)解散当日、候補者に配る「軍資金」を工面するため、前日、一時的にみずからの「手持ち資金」を「借入金」という形で陸山会に入れ、候補者に配布(2)翌22日、民主党岩手県第4区総支部を経由して手に入れた旧新生党の政治資金で返済―という構図です。
民主党候補にばらまいたカネの原資は、旧新生党の使い残した資金です。その原資には、「立法事務費」という国から交付された税金4億7970万円も含まれており、小沢氏の政治的道義的責任がきびしく問われることになります。
また、「改革フォーラム21」の3億7000万円の受け取りを「第4区総支部」を経由して行ったのは、政党や政治資金団体以外の政治団体が同一の政治団体に年間5000万円を超えて寄付することを禁じた政治資金規正法を逃れる迂回(うかい)献金であった疑いが濃厚です。
さらに、陸山会との間でやりとりした小沢氏個人の3億7000万円もの巨額資金の原資は何か、ゼネコン・マネーではないのか―など、小沢氏には、説明責任が求められています。