ページ

2010/12/11

急転直下の逮捕の裏では、リオン容疑者の背後の組織とその密約、警察との攻防、さらにはマスコミも巻き込む長い“暗闘”が繰り広げられた

2010.12.11
海老蔵殴打犯、密約出頭 グループに有利なタイミングで

 人気歌舞伎俳優の市川海老蔵(33)が殴打され重傷を負った事件。警視庁は行方を追っていた職業不詳、住居不詳の伊藤リオン容疑者(26)を10日夜、傷害容疑で逮捕し、11日から本格的な取り調べを始めた。急転直下の逮捕の裏では、リオン容疑者の背後の組織とその密約、警察との攻防、さらにはマスコミも巻き込む長い“暗闘”が繰り広げられた。一方、「事件の核心部分にはいまだ明かされていないこともある」(関係筋)との情報も。長い逃亡劇の舞台裏で何があったのか。




 10日夜に警視庁へ出頭し、逮捕手続きのため目黒署に移送されたリオン容疑者は、革ジャンに白いTシャツ、スウェットのズボンというラフな姿。ワゴン車の後部座席にのけぞるように座っていた。詰め寄る報道陣を見回しながら、含み笑いを見せるふてぶてしい態度もみせた。

 警視庁の取り調べに対し、リオン容疑者は「事件当日の衣服と靴は捨てた」と供述している。

 約2週間にわたり身を隠していたリオン容疑者。関係者によると、事件発生直後から、付き合いのある元暴走族グループを通してある組織の元に身を寄せていたという。

 「六本木には、元暴走族グループが形成した強固なネットワークがある。その人脈を通じて、組織にリオン容疑者の身を預けていたようです。事件の推移を見て、なるべくグループ側に有利なタイミングで出頭させようと計画していた」(事情を知る関係者)

 そうした背景もあり、出頭について、マスコミに流れる情報は二転三転した。

 当初は「今月3日までに」との情報が流れたが、結局、姿をみせない。出頭が延び延びになった背景には、さまざまな思惑が複雑に絡み合っていたようだ。

 「グループ側は『海老蔵だけが被害者ではない』との主張を繰り返しており、世論の流れもそちらに傾きかけていた。ただ、3日の時点ではまだ足もとが固まりきっていなかったようです」(同)

 複数の関係筋によると、その間にも警視庁とリオン容疑者をかくまう組織との間では、長い交渉が行われていたという。

 そんな中、グループ側は代理人の弁護士とともに会見を開き、海老蔵への反撃態勢を整えてから、出頭させるという筋書きを描いていたとみられる。だが、10日になって急遽予定は変わり、急転直下の出頭となった。一体何があったのか。

 別の関係筋は「水面下でリオン容疑者の動向を追っていた週刊誌がその居場所をキャッチしたようです。これを知った警察サイドが組織側に出頭を急がせたと聞きました。逮捕より先に、リオン容疑者の姿がマスコミに出ることは何としても避けたかった」と話す。

 こうして一応の決着をみた今回の事件。しかし、この出頭も一筋縄ではいかなかったようだ。

 「リオン容疑者は直前まで出頭を渋っていたようです」(別の関係筋)

 実は、海老蔵は会見で「複数の男に殴られた可能性がある」と証言。単独犯とする当初の供述を変えつつある。だとすると、「リオン容疑者がグループを守るため、1人で事件をかぶって出頭した可能性もあります」(同)。取り調べに対し、リオン容疑者は「頭にきて1人で殴った」と供述、単独でやったとする姿勢を強調している。

 一方で、「リオン容疑者の母親が精神的にかなり疲弊している」(捜査関係者)との情報も。「ワル」としての顔とともに実家の杉並区周辺では「子煩悩なパパ」や「素直ないい子」と優しい一面もみせているリオン容疑者。「母親の心労を伝え聞き、自ら事件を終わらせようと思ったのかもしれない」(リオン容疑者の知人)

 海老蔵とリオン容疑者側のグループ。双方の言い分は大きく食い違い、異例の展開をみせた。全容はいまだベールに包まれたままだが、容疑者逮捕によって、解明に向けて一歩動き出した。