海老蔵暴行事件で、東京地検は２８日、傷害罪で元暴走族メンバーの伊藤リオン容疑者（２７）を起訴した。検察は伊藤被告が元サッカー選手だった経歴を挙げ「足で蹴る行為は極めて危険であり、結果も重大だ」とした。
海老蔵はこの日の会見で「公判請求は望まない」としていたが、伊藤被告にとっては厳しい結果となった。
起訴状では、伊藤被告が海老蔵に加えた暴行の詳細が明らかになった。伊藤被告は１１月２５日午前５時すぎから同５５分までの約５０分間、東京・西麻布の雑居ビルで海老蔵の顔をげんこつで数回殴った上、頭や顔を平手で数回たたき、腹や腰などを数回蹴ったとしている。
海老蔵は会見で、伊藤被告と交わした示談書に「伊藤被告への公判請求を望まないことを東京地検に上申する」という文言を盛り込んだことを公表。さらに自身も「反省の言葉を述べていることと家族もあるということで早期の社会復帰を望み、公判請求は望まないというのが正直な気持ち」と話したが、検察側は伊藤被告がＪリーグのユースチームに所属していたことや全治２か月の大けがだったことを総合的に判断し、起訴に至ったようだ。
伊藤被告側は２８日、東京地裁に保釈請求したが、東京地裁は却下した。
また一緒に現場にいた元暴走族リーダーの男性が警視庁に「酔って介抱された際、海老蔵さんが乱暴な態度を取った」という趣旨の説明をしていることが明らかになった。また「海老蔵さんの頭が自分にぶつかった」とも話しているという。
◆前科ないならきわめて厳しい判断 前東京地検公安部長の若狭勝弁護士は、海老蔵が示談書で伊藤被告の公判請求をしないことを明記したことについて「かなり強い要望」と解説。それでも伊藤被告が起訴されたことについて「前科がないとすれば極めて厳しい判断。ただし、以前にも事件を起こしていたとすれば、一般市民に対して今後同じような事件を起こす可能性として『粗暴癖』があるとみなされることはある」との見方を示した。
公判の行方には「執行猶予期間中であれば実刑か微妙。服役を終えて５年以内であれば、間違いなく実刑」。また海老蔵の上申について「公判でも微妙な判断の場合には相当考慮されるはず」と分析した。
（2010年12月29日06時00分 スポーツ報知）
公判請求望まずも…東京地検、リオン被告を起訴
【海老蔵、示談成立】市川海老蔵（３３）は示談書とともに伊藤リオン被告（２７）の公判請求を望まないとする上申書を検察庁に提出したことを２８日、明らかにした。しかし、東京地検はこの日、同被告を起訴した。
会見で海老蔵は「リオンさんが反省の言葉を述べて、家族もあるということなので彼の社会復帰を望み、公判の請求は望みませんでした。ただ、私の気持ちではどうすることもできないので」と言い、検察の判断に複雑な表情を見せた。
略式起訴も想定された中での公判請求に、元東京地検検事の大澤孝征弁護士は「全治６週間のケガの程度からみて起訴する事案。被害者がいくら上申しようと傷害のレベルがひどすぎた」と指摘。東京地検は、伊藤被告がＪリーグのユースチームに所属していた経歴を挙げ「足で蹴る行為は極めて危険であり、結果も重大だ」とした。
元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は「被告に前科がある場合に上申が受け入れられないケースはある」とした上で、事件への世間の関心が高く「公開審理した方がいいと判断した可能性もある」という。起訴状によると、伊藤被告は１１月２５日午前５時すぎから同５５分までの間、海老蔵の顔をげんこつで数回殴った上、頭や顔を平手で数回叩き、腹や腰などを数回蹴るなどの暴行を加え、約２カ月のケガを負わせたとしている。
若狭氏は「裁判は１月下旬から２月上旬には開かれる。伊藤被告は殴った事実を認めており、海老蔵さんが出廷する必要はない」と指摘。裁判は伊藤被告の情状酌量面で争われ、初公判で結審する見通し。ただ、示談書の「起訴された場合、海老蔵の供述調書の信用性を争わない」とする条項について、同被告が完全に納得していないとの情報もあり、一部争点が残ったのは今後の行方で気になるところだ。
伊藤被告側はこの日、保釈請求したものの東京地裁は却下。大澤氏は「逮捕状が出てから伊藤被告が出頭するまでに１１日も要している。逃亡のおそれがあると判断したはず」と指摘した。関係者によると、伊藤被告は家族との接見禁止が解かれ、年末年始は妻子と面会できるという。
[ 2010年12月29日 ]
