警視庁:テロ捜査資料流出 内部文書、私的メモ混入か 流出元へ手がかり
警視庁などの国際テロ捜査に関する文書がインターネット上に流出した事件で、捜査情報や会議記録などが記された全114文書のうち1件だけ私信のようなメモが含まれていることが捜査関係者への取材で分かった。流出文書に類似したデータの多くが公安部外事3課のサーバーに残る中、この文書は現時点で見つかっていない。警視庁幹部は「他の資料とは明らかに異なっている」と指摘しており、流出元に迫る手掛かりになる可能性もあるという。
私信のようなメモのデータ名は「国テロ課からのリクエスト」。警察庁の国際テロリズム対策課を指すとみられる。あて名や日付、作成者は記されていない。1行目には「本件については、これまでに国テロ課からいただいた参考情報で、今後もいただきたい資料です」と書いていた。
文書では、国内のモスクなどのイスラム社会に関する情報や「管内対象団体情報」として特定の在京大使館の行事や館員動向などを求めていた。そのうえで、「※一日いつでも何回でも、また参考情報になるかどうか迷った時も、とりあえず送ってください」(原文のまま)と締めくくられていた。
複数の捜査関係者は文書について、「言葉遣いや体裁から警察官が書いた電子メールではないか」と指摘。情報の内容から、警視庁の担当部署である外事3課の関係者がかかわった可能性もあるという。「文書の作成者が受け手よりも立場が上という印象を受ける」と話す幹部もいる。
毎日新聞 2010年12月25日 東京朝刊