2010.5.6 08:43
【ニューヨーク=松尾理也】ニューヨーク中心部タイムズスクエアで起きた車両爆破テロ未遂事件で、米当局は5日までに、逮捕したパキスタン系米国人、ファイサル・シャザド容疑者(30)を大量破壊兵器使用未遂や殺人未遂など5つの容疑で訴追した。父親がパキスタン空軍の退役将校という上流家庭に育ち、昨年、米市民権を得たばかりの若者がなぜ、テロリストへの道を歩んだのか、米当局はパキスタン側と連携し、徹底的な洗い出しを進めている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、シャザド容疑者はパキスタン北西辺境州生まれ。1998年末に米国の学生ビザを取得した。その後2002年には就労ビザを取得、06年から昨年までコネティカット州のマーケティング事務所で働いていた。
04年には同州ブリッジポート市に自宅を購入、08年に結婚したが、経済的に行き詰まり、昨年9月に自宅の競売を申し立てられていたという。
一方で、英BBC放送によると、シャザド容疑者は今年2月までの過去7年に8回から10回パキスタンに入国していた。シャザド容疑者は現在、取り調べに積極的に応じており、「パキスタンのワジリスタンで爆弾を作る訓練を受けた」などと詳細な供述を行っているといわれる。
今回の事件をめぐっては、パキスタンの反政府組織「パキスタンのタリバン運動」が犯行声明を出しており、米当局は直接の関連について依然慎重な見方を崩していないものの、パキスタン政府高官は米CBSテレビのインタビューに対し、「米軍の攻撃に対するタリバン側の報復であることは確実だ」との見方を示した。
一方、シャザド容疑者が事件後逃亡を図った際、同容疑者の名前が緊急に搭乗禁止リストに掲載されたにもかかわらず、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港からドバイ行きの航空券の購入に成功し、いったんは機内に乗り込んでいたことがわかった。当局は航空機の離陸直前にシャザド容疑者の所在を確認し、逮捕したといい、空の安全をめぐる航空会社の姿勢への批判も高まっている。