2011.3.17 08:40
東日本大震災の想定を超える被害に、首相官邸がパニックに陥りつつある。政府は11日の地震発生直後に発足した緊急災害対策本部などに加え、15日には原発事故対応で東京電力との統合連絡本部、16日には震災ボランティアに関する会合まで立ち上げた。すでに設置された「本部」や「会議」は7つ。政治主導を強く意識しているようだが、連携不足が混乱を増幅させている面は否めない。
16日午前7時前、枝野幸男官房長官が官邸に慌ただしく駆け込んだ。東京電力福島第1原発4号機で再び火災が発生したためだ。その直後、菅直人首相の公用車が出発準備に入った。緊迫する官邸スタッフ。だが、結局首相は出かけず約1時間後に態勢は解除された。
政府は震災発生後、緊急災害、原子力災害、電力需給と名の付く各対策本部のほか、海江田万里経産相を投入した東電との統合連絡本部など、矢継ぎ早に震災関係会合を立ち上げた。16日には辻元清美首相補佐官らで震災ボランティアに関する会合を設置したが、集まったNPO(非営利団体)の意見がバラバラで収拾がつかなかった。
官邸内の役割分担もちぐはぐだ。松本龍防災担当相が官邸内の危機管理センターにこもる時間が長いのに対し、むしろ最高責任者の首相が自ら現地を視察したがっている。
「震災対策と原発対策の指揮命令系統をきちんと分けるべきだ」
自民党の石破茂政調会長は16日の政府・与野党震災対策合同会議でこう苦言を呈した。
「政府・超党派で緊密な意見および情報交換を行う」という趣旨で始まったこの会議。政府側からは松本氏のほか玄葉光一郎国家戦略担当相、藤井裕久官房副長官らがわざわざ国会内に出向き、与野党幹部の意見に耳を傾けた。
しかし、約1時間の会議で合意できたのは、政策担当実務者レベルの会議を設置することと18日に第2回会合を開くことくらい。
民主党は16日、党内に復興に向けた法整備を検討する「復旧・復興特別立法チーム」(座長・中川正春衆院議員)を設けた。政府だけでなく党側の会議も乱立気味だ。
国民新党の亀井静香代表は16日、“会議好き”の政府にこう苦言を呈した。
「やりたきゃやればいいが、むしろ弊害だ。こういう時にそういうことをやれば、『船頭多くして船山に登る』なんだ」