「供給力や津波対策、議論したが…」中部電、結論先送り
浜岡原発の停止要請 取締役会後に声明
2011/5/7 16:43
中部電力は7日午後の臨時取締役会で、菅直人首相による浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止要請について検討したが、結論を出せず、継続審議とすることを決めた。
中部電が同日発表した声明は以下の通り。
「経済産業大臣より、昨日(6日)19時に、浜岡原子力発電所の運転停止に関する要請を受けました」
「本日、臨時取締役会を開催し、浜岡原子力発電所全号機が停止した場合の当社の対応について議論を行いました。具体的には、夏場の供給力、燃料調達の見通し、収支、津波対策への対応など全号機停止による影響を幅広く議論いたしました。しかしながら、検討内容が極めて重要な事項であり、多岐にわたっていること、お客さま、立地地域の皆さま、株主の皆さまをはじめ多くの皆さまへ多大な影響を与えることなどから、継続審議といたしました」
「当社としては、要請内容について迅速に検討してまいります」
浜岡原発:「中部電力は停止受け入れを」民主・岡田幹事長
民主党の岡田克也幹事長は7日、福島県会津若松市で記者団に対し、菅直人首相が中部電力に求めた浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止について「浜岡原発が置かれた場所、地震の可能性を考えれば、中部電力も速やかに受け入れてもらう必要がある」と述べ、早期停止を求めた。
停止を求めた首相の判断については、「積み上げて議論する問題ではない。トップダウンの政治決断で前に進めるのも必要だ」と評価した。岡田氏はこれに先立ち、役場機能を福島県会津地方に移転させた福島第1原発周辺の同県楢葉町、大熊町、葛尾村の仮役場を視察し、原発事故の早期収束や補償問題に努力する考えを伝えた。【野口武則】
毎日新聞 2011年5月7日 19時54分
浜岡停止要請「法律超える判断」=安全機能は確保-保安院
政府による中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止要請について、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は7日の記者会見で、「浜岡の持つ特異な環境にかんがみて、法律を超える判断があった」との認識を示した。保安院は今後、地元自治体へ説明に行くという。
浜岡原発の状況について、西山審議官は「今後30年以内に震度6強クラスの地震が起きる確率が80%以上と突出している。他の原発は数パーセント以下だ」と指摘した。
一方、東京電力福島第1原発事故を受けた保安院の指示で、浜岡原発も電源車の配備など短期的な緊急安全対策を実施。西山審議官は「仮に津波が来ても原子炉は冷却でき、最後の安全機能は確保できている。法律上は(運転条件を)満たしている」と述べた。
(2011/05/07-19:45)
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011050700303
鳩山前首相「首相の決断は評価したい」
2011.5.7 18:30
民主党の鳩山由紀夫前首相は7日、菅直人首相が中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止を要請したことについて「今回の首相の決断は評価したい。浜岡原発は今のままなら、将来に不安が残る」と述べた。中国の北京空港で記者団に語った。
細野補佐官「原子力政策ストップではない」
2011.5.7 11:12
細野豪志首相補佐官は7日朝、TBSの番組で、菅直人首相が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止を中部電力に要請したことについて「浜岡を止めたことで、原子力政策全体を止めようということではない」と述べ、政府の原子力政策の変更につながるものではないとの認識を示した。
細野氏は浜岡原発について「福島第1原子力発電所と構造が似ている。作った時期も大体同じだ。視察したが、完全に私の懸念を払拭することはできなかった」と指摘。「4月初旬から、内閣官房参与ら複数の方が『浜岡原発を調べた方がいい』という意見をお持ちになった」と明かした。
そのうえで「(私が)首相の指示を受けて、いろんな方から話を聴き、停止した場合の経済的リスクも含めて首相に説明した。最も地震の可能性が高く、津波が来たときに心配がぬぐいきれない浜岡原発に関して、(首相が)政治的に判断したということだ」と説明した。
防潮堤の整備が済めば稼働再開を容認するかについては「(海江田万里)経済産業相の判断だ」と言及を避けた。
一方、福島第1原発の事故をめぐる東京電力の賠償・経営問題については「そう簡単に電気料金は上げられない。補償には東電のリストラ努力が最優先だ」と強調。政府・与党内で浮上している東電の国有化論には「私は民間の事業でやるべきものだと思う」と述べた。
【原発】原発停止要請に静岡県知事「大英断だ」(05/07 01:09)
浜岡原発がある地元・静岡県の反応です。
川勝平太静岡県知事:「これは大英断。高い敬意を表したい」「(県として)安全な代替エネルギーを加速度的に開発を進めていきたい」
経済的にも財政的にも原発に依存し、「原発城下町」と言われる御前崎市の市民は複雑です。
御前崎市民:「どちらとも言えない。止めてもらったほうが確かに安全かもしれないが、(経済的に)頼っている部分もある」
原発で働く市民:「(止めることは)反対ですね。僕ら、止まれば仕事なくなる。止まったらまずい」
浜岡原発が止まったら…真夏の電力供給、余力わずか
2011年5月7日7時59分
中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)で全3基が停止した場合、必要な電力に対して供給余力は一気に低下する。中部地方の電力不足も懸念されるが、政府内には計画停電や企業への節電目標の設定を求める必要はないとの見方もある。
中部電は今夏の電力需要のピークで、2560万キロワットの電気が必要と試算。浜岡原発が3基(計362万キロワット)とも動いていれば2999万キロワットの発電ができるが、浜岡がすべて止まると供給の余裕は77万キロワットだけだ。
中部電によると、夏は企業や家庭で冷房の使用が多くなり、気温が1度上昇しただけで80万キロワットの電気が必要になる。
原発停止分を補うには、火力発電所の出力を上げたり、関西電力など他電力からの融通を増やしたりする必要がある。中部電は「(火力発電所の)燃料確保はものすごく厳しい」(水野明久社長)。関電などからの融通にしても、「電力供給の厳しさは定期検査中の原発が立ち上がらなければ同じだ」(関電幹部)という。
ただ、夏のピークに必要な電気も、震災前にはじいた数字。多くの工場で稼働率が落ちる今夏、試算通りの電気が必要になることはない。実際、浜岡原発は2009年夏にも全3基が停止したが、リーマン・ショック後の生産活動の停滞で乗り切った。
中部電の供給電力に占める原発の割合は20%に満たず、政府内には「浜岡を止めても何とか電力はまかなえる」との計算も働いたようだ。
退陣論意識、指導力アピール-菅首相=民主内は賛否両論
菅直人首相は6日、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の全原子炉停止を中部電に要請したことを発表した記者会見で、決定は自身の判断と強調した。東日本大震災の復旧・復興や福島第1原発事故への対応の不備を批判され、野党から退陣を迫られている菅首相だけに、指導力をアピールする狙いもあったようだ。
「首相として、浜岡原発の全原子炉の運転停止を中部電力に要請した」。会見の冒頭、こう発表した菅首相は、同原発の危険性を細かに説明すると「私自身、安全性について意見を聞き、熟慮を重ねた上で、首相として決定した」と、「首相として」を繰り返した。
実際、東海地震の震源域に立地する同原発の危険性はかねて指摘されており、万が一にも福島に続き同様の事故が起きれば、国の存亡にかかわりかねない。民主党幹部は菅政権の現状を念頭に「クリーンヒットを狙ったものだ」と解説した。
もっとも、菅首相の後に会見した海江田万里経済産業相が明かしたように、法制度に基づくものではなく、あくまで「要請」。国民の間で原発への不安が高まっていることを踏まえ、中部電側が受け入れざるを得ないと判断したことをうかがわせる。首相は「十分対応できる」と言うものの、電力供給量の低下が中部地域に与える影響は完全には見通せない。
民主党内からは「勇気ある決断だ」(斎藤勁国対委員長代理)と評価する声がある一方で、「唐突だ。夏場に電力需要が増えるときに心配だ」(中堅)、「求心力を高めようとしているだけではないか」(ベテラン)と疑問の声も相次いだ。
海江田氏は会見で、今回の決定経緯について、5日に現地を視察した後、首相に進言したと説明した。首相がわずか一日の「熟慮」でこれに飛びついた可能性もあり、「首相の決断」は自らに跳ね返ってくる。(2011/05/06-22:34)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011050600961
首相、仙谷氏と会食 関係修復図る
菅直人首相は6日夜、仙谷由人官房副長官と官邸近くの中国料理店で夕食を共にしながら会談した。東日本大震災復興、浜岡原発停止などをめぐり意見交換したとみられる。仙谷氏とは副長官就任後も関係がぎくしゃくしており、修復を図ったようだ。首相は会食後、記者団に「いろいろな話ができてよかった」と述べた。
首相は3日昼に震災後初めて伸子夫人らと外食に出掛けたが、夜に食事のため外出したのは初。夕食では3月2日に、都内のすき焼き店で安住淳民主党国対委員長らと会食したのが最後だった。
2011/05/07 00:14 【共同通信】