原子炉の制御が困難な状態に陥っている福島第一原子力発電所の1~6号機のうち、緊急に対策が必要な3号機は、使用済み核燃料の一時貯蔵プールの冷却水が過熱し、18日に入っても白煙が噴き出している。
15、16日に2度の建屋火災で壁が損傷した4号機の貯蔵プールでは、自衛隊ヘリからの目視で、冷却水が残っていることが確認されているが、冷却水の温度は依然として高い。原子炉建屋の崩壊がさらに進んでおり、予断を許さない状況だ。
燃料棒の一部が露出で、原子炉が熱を帯びた状態にある1、2号機では海水注入が続く。送電線の敷設がほぼ完了し、原子力安全・保安院によると、18日中に1、2号機に送電線をつなぐ工事が行われる見通しだ。
6基とは別にある約6400本の使用済み核燃料を収めた共用プールは、津波の影響で水温や水位の変化が確認できなくなっていたが、保安院は「ほぼ満水状態であることを確認した」としている。
(2011年3月18日11時29分 読売新聞)
作業難航 電源復旧しても機器故障なら…
冷却能力を失った福島第1原発で、東京電力が外部からの電源を復旧させようと懸命だ。原子炉や使用済み燃料を効果的に冷却できれば、安全確保への道が開けるが、主要機器や電気系統は地震の影響で故障している可能性があり、作動するかは未知数。作業は難航する恐れもある。
東電は17日、電気工事の関係者ら約320人で工事を進め、東北電力の送電線を第1原発の敷地前まで引き込むことにこぎ着けた。18日以降、まず2号機まで延ばすが、十数時間かかる見通し。その後、近くの1号機も含め、電気系統につなげる計画だ。
原子炉では燃料が露出し、一部では燃料が溶ける「炉心溶融」が発生しているが、確実に冷却できれば最悪のケースとなるメルトダウン(全炉心溶融)の回避につなげられる。東電は「電源が復旧すれば、信頼性が高い対策を取るための一歩となる」と説明する。
だが、外部電源が復旧したとしても、機器や電気系統に異常があれば送電しても使えない。地震による津波で、冷却に使う海水取り込みポンプに故障が予想されるほか、水素爆発の影響でどんな損傷があるか分からない。
東電は「原子炉の冷却を優先させ、(放射性物質放出の恐れがある)使用済み燃料プールの冷却もできるようにしたい」とするが、復旧時期は不透明だ。
[ 2011年3月18日 10:42 ]
福島第一原発、電源復旧は早くて18日夜 作業難航
2011年3月18日11時42分
東日本大震災の被害を受けた東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で17日始まった電源復旧作業は18日も続いている。復旧は早くても同日夜になる見通し。失われた大規模電源が復活し、機器が正常に動けば、原子炉を冷やし安全に停止することができるが、作業が難航している。
作業員320人を動員して、がれきを重機で撤去しながら、ケーブルを引く作業が続けられている。発電所敷地内には、福島県内に電力を供給する東北電力からの送電線が引かれており、電気も来ている。そこから各原発まで約1.5キロのケーブルを引きつなぐ計画だ。
18日には1~4号機に電気を引き込む仮設の配電盤をそれぞれの建屋から数十メートルの場所に配置。そこから各原発に電気を引き込む。
最初に引き込みを目指すのは、建物の損傷が少なそうな2号機。2号機で成功すれば隣にある1号機にも電気を供給できるという。
17日に始まった3号機への自衛隊などの放水が始まると、現場が隣接するために作業を中断せざるを得ない。刻々と事態が悪化する原子炉の状況をにらみながら、一刻も早い電源復旧を目指す。
原発を安全に停止するためには、核燃料を冷やさなければならない。大量の水を循環させて海水と熱交換して冷やす。大型ポンプを駆動させるためには大容量の電源が必要だ。しかし、電源が回復しても、個々の機器が損傷して正常に作動しない可能性がある。損傷していれば仮設の機器を導入する。