元CIA職員、ハッキング暴露 中国、対米反撃カード
2013.06.18【北京=山本勲】7、8日に行われた米中首脳会談で最大議題となったサイバー攻撃問題をめぐる米中の攻防が一段と熱をおびてきた。香港滞在中の元米中央情報局(CIA)職員、エドワード・スノーデン氏が米国の対中ハッキング行為を香港紙に証言。米政府が同氏の身柄拘束に動き始めたことに対し、中国の国際情報紙「環球時報」は17日付社説で中国がスノーデン氏を保護するよう主張した。習近平政権に近い学者も同紙で米国を「泥棒」と表現し、非難。いずれも習政権の意向を反映したとみられ、中国が対米反撃に転じた形だ。
中国外務省の華春瑩報道官は17日の記者会見で「米側は国際社会の懸念を重視し、説明すべきだ」と述べたが、スノーデン氏の身柄を米国に引き渡すべきかどうかについては明言を避けた。
オバマ大統領と習近平国家主席の首脳会談では、米側が中国軍などによる対米サイバー攻撃を重大視し、「サイバー空間の安全確保」を強く求めた。中国側も「そのための共通ルール作りに取り組む」ことで合意したが、双方の不信感解消にはほど遠かった。
スノーデン氏が、「米国家安全保障局(NSA)が2009年から中国や香港でハッキング行為を行っていた」と暴露したのは会談の数日後。
極めてタイムリーに「中国もサイバー攻撃の被害者」(習主席)との主張を実証した形だが、米側には中国の関与を疑う声もあり、スノーデン氏の取り調べを急ぎたいところだ。
17日付の環球時報紙は1面トップで「半数の香港人がスノーデン氏の(米国)引き渡しに反対している」と報道。「米国はすべての同盟国を動員して彼を逮捕しようとするだろうから、中国内の大学に招(しょう)聘(へい)するのが最良の方策」(陳文鴻・香港理工大学中国商業センター主任)などの声を紹介した。
習政権の外交ブレーンとされる沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長も同紙に「泥棒が泥棒を捕まえろと言っている」と非難、「米国が中国の安全を侵犯する行為を即時停止するよう求める」と主張した。
さらに社説では「彼の行為は香港・中国を含む世界の公衆の利益に符合する」「中国は大国として庇(ひ)護(ご)者の役割を避けられない」などと中国がスノーデン氏を保護するよう求めた。
スノーデン氏米国送還は「裏切り行為」、中国国営紙が社説
2013年06月17日 16:38 発信地:北京/中国【6月17日 AFP】中国国営紙は16日、米政府による市民監視プログラムの存在を暴露したエドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏の身柄を米当局に引き渡すことは、スノーデン氏の信頼に対する「裏切り」であり、中国当局の「面目を失う結果」をもたらすと社説で述べた。
米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)で外部請負業者からの出向職員として勤務し、現在は香港に潜伏中のスノーデン氏の身柄引き渡しについて、中国国内のメディアが上げた声としては、これまでで最も強いものとなった。
米当局による大規模なインターネット監視体制──この中には中国を対象にしたハッキングとされる事例もあった──が暴露されたことを受けて米中関係が緊張する中、米当局はスノーデン氏の刑事捜査に着手した。
中国外務省は先週、スノーデン氏について「提供する情報はない」と述べ、堅くその口を閉ざしたままだ。一方、中国メディアはこれまで、スノーデン氏の送還を拒否するべきだとの世論に中国当局も従っているはずだと報じていた。
17日付の国営環球時報(Global Times)の社説は、さらに一歩踏み込み、スノーデン氏を送還した場合に生じるだろう、中国の「面目を失う結果」について論じた。
「一般の犯罪と異なり、スノーデン氏は誰1人傷つけていない。彼の『犯罪』は、米当局による人権侵害について内部告発したというものだ」(環球時報)
「スノーデン氏を米国に送還することは、スノーデン氏の信頼を裏切るだけでなく、世界中からの期待を失望させるものになるだろう。香港のイメージは永久に損なわれることになる」
香港の英字紙サンデー・モーニング・ポスト(Sunday Morning Post)が16日に発表した調査によると、米当局が身柄引き渡しを求めた場合にスノーデン氏を送還するべきかどうかという質問に対し、するべきでないと回答した香港市民は49.9%に上った。一方、スノーデン氏の送還に賛成した人はわずか17.6%で、32.4%は分からないと回答した。調査には509人が回答したという。(c)AFP
スノーデン氏、「中国のスパイ」説を一蹴
2013年06月18日 09:21 発信地:ワシントンD.C./米国【6月18日 AFP】米政府による個人のインターネット利用を監視する大規模なプログラムの詳細を暴露したエドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏(29)は17日、自分を中国の工作員だとみなす説を一蹴した。
英紙ガーディアン(Guardian)が行ったインターネット上でのインタビューで、なぜ暴露する前に香港(Hong Kong)へ渡ったのかと質問されたスノーデン氏は、「暴露する前からそういう中傷が出てくるのは予期していた」と応じた。そして、米当局者らは自らの違法行為に注目が集まるのを避けるためにそのような主張を行っていると非難し、また「レッド・チャイナ(共産主義の中国)」に向けられた疑惑に型通りの反応しかしていないとして報道メディアも批判した。
同氏は、米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)の世界的なインターネット監視システムに米国民が引っ掛かってしまうことのないよう保護フィルターが設けられていることは認めたが、その保護は技術上脆弱(ぜいじゃく)で、擦り抜けるのも容易だったと指摘。さらに、「より根本的な話をすれば、米国民の保護というのは概してこの監視システムの持つ力と危険性から世間の目をそらすためのものにすぎない」と論じた。
さらに同氏は「真実は近づきつつある。それを止めることはできない」と語り、NSAによる個人の電子メールの監視についてさらに詳しい情報を公開していくと述べた。(c)AFP
「もし私が中国のスパイなら北京に直行した」 情報暴露の元CIA職員
2013.6.18 14:36米国家安全保障局(NSA)の活動を暴露し香港に滞在中の米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン氏は17日、英紙ガーディアンのオンライン・フォーラムに参加、読者や市民らの質問に答え「米国では公正な裁判は期待できない」と述べた。
米国から香港へ逃れた理由を問われたスノーデン氏は「これまでの内部告発者への対応と同様に、米政府は私を即座に国家への反逆者と宣言するなど、公正な裁判の道を閉ざした」と説明した。さらに「米政府が私を投獄しようが殺害しようが、事実の隠蔽はできない」と述べ、自身に危険が及んでも暴露を続ける仕掛けがあることを示唆した。
オバマ米大統領に対しては「大統領就任前には、事態を改善できると期待したが、人権上問題のある政策を推進した」と批判。中国政府とつながりがあるとの指摘には、「もし私が中国のスパイであれば(香港ではなく)北京に直行していた」と否定した。(共同)
2013年 6月 18日 14:19 JST.
スノーデン氏は中国のスパイではない=中国外務省
By PAUL MOZUR【北京】中国外務省は、米政府による監視プログラムの存在を暴露した米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン氏(29)が中国と協力したことはなく、中国のスパイではないと表明した。
中国外務省の華春瑩報道官は17日の定例会見で、スノーデン氏が中国と協力しているとか、中国のスパイだという説は「全くばかげている」と述べた。しかし、それ以上の説明は避けた。
先週、米下院諜報委員会のトップ2人が、スノーデン氏が中国とつながりがあったかどうかをめぐって問題提起した。
同委員会のマイク・ロジャーズ委員長(共和、ミシガン州)と民主党有力者のダッチ・ルパースバーガー委員(民主、メリーランド州)が、米国家安全保障局(NSA)の監視プログラムについて当局から3時間におよぶ非公開の説明を受けた後、スノーデン氏と中国の接点をさらに調査するよう求めた。
その前日、スノーデン氏はインタビューで、NSAが世界中で6万1000件以上のハッキングを行っていたと確信していると告白した。その中には中国の特別行政区である香港と中国本土での数百件が含まれている。
華報道官は米国に対し、国際社会が同国の監視プログラムを懸念していることに注意を払うように要請、「必要な説明」するよう米国に求めた。
華報道官はさらに、香港住民の大半が香港からスノーデン氏を引き渡すことに反対しているとの報道を香港政府が認識していると述べた。
香港中文大学が先週実施した広範な世論調査では、米国が同氏の身柄引き渡しを要求した場合、同氏を米国に送還することを支持する割合は509人の回答者中、18%にとどまった。一方、回答者の約50%がそれには「反対」か「強く反対」と答えた。さらに、同氏を裏切り者と表現したのは13%にとどまり、33% は英雄と呼んだ。36%はどちらでもないと答えた。