食品に含まれる放射性セシウムの新基準値案について厚生労働省が実施していた意見公募に対し、案の妥当性について厚労省から意見を求められていた文部科学省放射線審議会の前会長、中村尚司東北大名誉教授が「福島県の農漁業に甚大な影響を与える」などとして、公募期間中に反対意見の「投稿要請」とも受け取れる依頼を関係学会の会員らにメールで送っていたことが16日、分かった。
メールには丹羽太貫現会長の名前も出していた。中村前会長は「反対意見の投稿を要請したつもりはない」と話している。
厚労省によると、寄せられた約1700件の意見のうち、もっと厳しくすべきは約1400件。
2012/02/17 02:02 【共同通信】
食品規制値案で投稿促す=「対応お願い」関係学会に-批判の放射線審議会前会長
厚生労働省が策定した放射性セシウムの新たな食品規制値案について、文部科学省放射線審議会前会長の中村尚司東北大名誉教授が関係学会に送ったメールで内容を批判した上で、「対応をお願いします」と厚労省の意見公募に投稿するよう促していたことが17日、文科省の調査で分かった。
放射線審議会は厚労省から規制値案の妥当性について諮問を受ける立場で、小宮山洋子厚労相は同日、「あってはならない」と不快感を示した。
文科省によると、中村前会長がメールを送ったのは1月下旬。日本医学物理学会の事務局(東京都新宿区)宛てで、内容は事務局関係者から会員にメールで伝えられたという。同会の会員総数は昨年10月末時点で1938人。(2012/02/17-12:30)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012021700395
食品新規制値で放射線審前会長 関係学会へ投稿要請
2012年2月17日 07時16分
食品に含まれる放射性セシウムの新規制値案について厚生労働省が実施していた意見公募に対し、案の妥当性について厚労省から意見諮問を受けた文部科学省放射線審議会の前会長、中村尚司(たかし)東北大名誉教授が「(厳しい規制は)福島県の農漁業に甚大な影響を与える」などとして、公募期間中に「反対意見の投稿要請」とも受け取れる依頼を関係学会の会員らにメールで送っていたことが十六日、分かった。
メールには丹羽太貫(おおつら)現会長の名前も出していた。中村氏は「反対意見の投稿を要請したつもりはない」と話しているが、審議会前会長の立場で影響力を行使したとの批判も起こりそうだ。
中村氏によると、一月二十日前後に日本原子力学会の関係者を通じて学会下部組織の会員らに依頼文をメールで送った。実際、何人に送られたかは不明。
メールでは新規制値案をめぐる同審議会の議論について「安全性の評価、社会的影響に関する検討がなされていないと紛糾している」とし「本案が施行されると福島県産の農産物、海産物が売れなくなる」「(福島)県民の感情を無視したもの」と指摘。
意見提出の要領などを記載した、総務省が運営するインターネットサイトの宛先を添付した上で「ぜひ対応して頂くようお願いいたします」としていた。
中村氏は「それぞれで考えて意見を出してほしいという趣旨だった」と説明。前会長の立場での依頼については「すでに会長を辞めており審議会にもタッチしていない」と話した。
厚労省によると、意見公募は一月六日から今月四日まで実施。これまでに約千七百件の意見が寄せられ、もっと厳しくすべきだとの意見は約千四百件、厳しすぎるとの意見は約四十件だった。
中村氏は二〇〇七年三月から昨年二月まで放射線審議会会長を務めた。
■事実関係把握していない
丹羽太貫・放射線審議会会長の話 ある人から「あなたと(前会長の)中村さんの名前でメールが出ている。これは何ですか」と聞かれたが、事実関係を把握していなかった。中村さんに聞いたら「学会の幹事にメールを送ったら、それが流れた」と説明を受けた。
■メールのポイント
・放射線審議会は「安全性の評価と社会的、経済的影響に関する検討がなされていない」と紛糾。
・新規制値案が施行されると、福島県の農業と漁業へ甚大な影響を与え、農作物や海産物が売れなくなる可能性が高まる。
・これは、原発事故から立ち直ろうと除染を進めている福島県の県民感情を無視したものと考える。
・パブリックコメント募集内容を確認した上、対応をお願いする。
・(現会長の)丹羽(太貫)先生とも連絡を取って(個人として厚労省に投稿した)コメントを参考までに送る。
(東京新聞)
食品セシウム基準厳格化「反対を」 審議会前会長が要請
2012年2月17日12時23分
食品に含まれる放射性セシウムの新基準について厚生労働省が実施した意見公募に対し、文部科学省放射線審議会前会長の中村尚司東北大名誉教授が関係学会の会員らに反対意見の投稿を求めるメールを送っていたことが17日、分かった。
中村氏によると、1月末、「(新基準は)福島県の農漁業に甚大な影響を与える」という意見を投稿したことを研究者の仲間数人に送った。その際「皆さんも出してくださいと書いたが、要請したつもりはない」と話している。その後、何人に転送されたかは分からないという。
平野博文文科相は閣議後会見で「審議会の現職メンバーなら問題だが、退任しており審議をゆがめたとは考えていない」と述べた。小宮山洋子厚労相は「本来のパブリックコメントの趣旨に反し、あってはならないこと」と話した。
食品新基準:「反対意見の投稿要請」文科相、問題視せず
文部科学省放射線審議会前会長の中村尚司・東北大名誉教授が、食品に含まれる放射性セシウムの新基準値案について厚生労働省が行った意見公募に対する「反対意見の投稿要請」とも受け取れるメールを関係学会員らに送っていたことが分かった。中村氏は文科省が作り直した放射線教育の副読本の作成委員会委員長も務めたが、平野博文文科相は17日の閣議後の記者会見で、「教材の中立性が疑われるのでは」との質問に「どうのこうのする考えはない」と問題視しない考えを示した。
中村氏は意見募集期間中の1月20日前後、「(厳しい基準は)福島県の農漁業に甚大な影響を与える」などと指摘したメールを送っていた。副読本は昨年10月に公表されたが、放射線の基礎知識に特化し、原発事故にはほとんど触れない内容になっている。【木村健二】
毎日新聞 2012年2月17日 12時13分
中村尚司東北大名誉教授といえば、
東葛地区放射線量対策協議会 での見解
第1・2回空間放射線量測定結果に基づく見解(7月8日)
http://www.city.nagareyama.chiba.jp/top/kyogikai_hyoka.pdf
ファイル:kyogikai_hyoka.pdf
タイトル:専門家からの提言内容に関する各市意見
東北大学 中村尚司
【第2 回までの測定結果から】
この2 回の測定結果から見て2 つのことが言えます。
1)2 回の測定結果は2 週間空いているが、ほとんど変化していない。これは線量に寄与しているのが、半減期2 年のCs-134 と30 年のCs-137 がほとんどであることを示している。
このことから、今後の測定はもっと回数を減らし、場所ももっと少なくして、時間的変化の傾向を見るので十分である。
2)線量値自体は通常のバックグランドの2倍から、高いところで10 倍以内であるが、数値は1μSv より十分低く、0.1-0.5μSv 程度である。この数値は1を超えている福島県内の高い地点の値より十分低い。
1960 年代の大気圏核実験が世界中で盛んに行われていた頃の東京近辺で、気象庁が長年に渡って測定してきたCs-137 の空中放射能濃度は今より1 万倍も高かったことを考えると、この数値は心配の必要が無い。
緯度や高度が高くなると、宇宙線の線量は増えるし、日本でも世界でも自然放射線の線量がもっと高いところはいくらでもある。
関東の他の地区と比べても例えば、茨城県北部はこれより高いところもあり、もっと数値の高い福島県民はこの騒ぎをどう思うだろうか。放射線に対する正しい知識の普及が重要である。
先週、郡山と南相馬の小学校で放射線の話をしたが、思った以上に生徒、先生、父母が落ち着いているので安心した。
【ICRP勧告について】
ICRP 勧告は国内法令の基礎になっていますが、1 年当たり1mSv という一般公衆に対する線量限度は、安全と危険の境とは全く違う数値で、これは平常時において、放射線を使用する施設がこれを超えないように施設を管理するための基準です。
この場合でも、特別の場合は1 年当たり5mSvまでは許されています。5 年間平均で年1mSvを超えないという規定はありません。
今回のような非常時は年当たり20mSv-100mSv、現存被曝(回復時)では年当たり1-20mSv が適用されます。今はこの1-20mSv が適用されるでしょうが、この範囲は各国が状況に応じて決めるものです。
通常自然放射線で日本人が1 年間に受ける線量が約1.5mSv であることを考えると、多大の人員と費用を掛けて、年1mSv 以下にすることは無駄な努力であり、ICRP が掲げているARALA(As Low As ReasonablyAchievable)の精神とも反するものです。
なお、福島県では県民の積算被ばく線量評価が進められていますが、東葛地区のような低い線量での被ばく線量の推計は非常に困難であり、それを国に求めるのは無理な話です。
どうしてもということであれば、福島県でやり始めている方法を使って自治体独自でやることも出来ますが、ものすごく大変な作業量を伴い、不可能だと思います。
【措置(対策)について】
文科省が、1μSv/hを超える校庭の除染の費用を出すことは決めたと報道されています。この数値は私から見て妥当な値だと思います。
今、仮に屋外にいる時間を8時間、屋内にいる時間を16時間、屋外の線量を1μSv/hとすると、屋内はCs-137の662keVのガンマ線に対する遮蔽効果を入れて、0.4 μSvになります。
そうすると1年間の線量は0.001 x 8 x 365 + 0.0004 x 16 x 365 = 5.2 mSvとなって、これは平常時において、特別の場合に認められている5mSvの値になります。
今のような現存被ばく状態の時はもう少し高くても本来構わないのですが、5mSvというのは、今の平常時の法令に照らしても問題ない値だと思います。
したがって、除染の必要はありませんが、どうしても気になるのであれば、特に高い数値を示す箇所だけ、土を混ぜるとか取り除くとかの処置をすればいいと思います。いずれにしても、このようなことに多大の費用を掛けるのは問題だと思います。
なお、内部被ばくを問題にしている人もいますが、セシュウムは土にしっかりと固着され空中に飛び散ることはありません。したがって、今は外部被ばくが問題です。
たとえ土まみれになったとしても、洗えばいいし、大体1年間のうちに少しの時間土まみれになったとしても、受ける線量は1年間で見ればごく微量です。
やたら神経質になるのではなくて、物事を科学的に合理的にみることが重要で、冷静になることが必要です。
昔は核実験のために今よりずっと多くの放射能が東京に降っていた?
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