使用済み核燃料再処理:原燃と仏アレバ社 技術協力で合意
毎日新聞 2013年06月07日 21時20分(最終更新 06月07日 22時30分)
日本原燃と仏アレバ社は7日、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)のガラス溶融炉で技術協力すると発表した。日仏首脳会談を受けて両社が締結した核燃料サイクルでの協力を目指す共同声明に盛り込んだ。
再処理工場は溶融炉以外のほぼすべての設備でフランスの技術移転を受けており、溶融炉が唯一、国産技術を使って造られた。だが溶融炉は目詰まりなどのトラブルを再三引き起こし、操業が遅れる最大の原因になっていた。技術協力は、再処理や核燃料サイクルを早期に進めたい両国の思惑があるとみられる。
日仏の再処理工場は溶融炉の形式が大きく違う。声明には「将来的なガラス固化技術の協議も続ける」との文言も盛り込み、フランスの溶融炉を導入する可能性も示唆している。しかし原燃は「溶融炉の設計は変更しない」と説明。理由として、約5年半かかったガラス溶融炉の最終試験が先月終了したばかりであることなどを挙げた。
現在、原燃は今年10月の完成とその後の操業を目指している。だが、原子力規制委員会は、同工場のような核燃サイクル施設の新規制基準が12月に施行されるまで、操業を認めないと表明。規制基準では、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故を想定した安全対策を法的に義務付けるため、操業が遅れる可能性は高い。
また、周辺にある断層調査の結果も操業時期を左右する。原燃は同工場周辺の二つの断層の地質構造を調べ、12月までに結果をまとめると発表。このほか、同工場東沖を南北に走る「大陸棚外縁断層」(延長84キロ)は、専門家から活断層の可能性が指摘され、原燃や東北電力など4社共同で調査している。結果によっては、耐震評価の見直しを迫られる。
核燃料サイクル政策は、再処理工場で使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、高速増殖炉で再利用することも構想。再処理工場と並んで、要となる高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)も、トラブル続きや重要機器の点検漏れで運転再開のめどは立っていない。【酒造唯、岡田英】