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2013/02/12

ローマ法王ベネディクト16世、2月28日に退位を表明

ローマ法王が高齢を理由に退位を表明

2013年02月12日 11:18 発信地:バチカン市国【2月12日 AFP】(一部更新、写真追加)  ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、85)が11日、高齢を理由に2月28日に退位することを表明した。


 法王は11日、バチカン(Vatican)で開かれた枢機卿会議の最後に、「高齢のためにもはや(キリストの使徒)ペテロの後継者としての責務を十分に果たすだけの体力がなくなったことを確信した」とラテン語で書かれた文章を読み上げた。その声はようやく聞こえる程度だったという。「この数か月で、法王としての職務をまっとうするために必要な精神力と体力が著しく衰え、私に委託された任務を適切に実施するのが不可能になったと認めなければならなくなった」

 ローマ法王庁の報道官によれば、法王退位後、15日から20日以内に枢機卿による法王選出選挙(コンクラーベ)が行われ、復活祭の日曜日である3月31日までに新法王が就任する見込みだ。

 1415年にグレゴリウス12世(Gregory XII)が強制的に辞任させられているが、カトリック教会2000年の歴史の中で、生前のローマ法王が正式に退位するのは1294年のケレスティヌス5世(Celestine V)に続き2人目。

 ドイツ生まれのベネディクト16世は、法王就任前はヨゼフ・ラッツィンガー(Joseph Ratzinger)枢機卿として長年、カトリック教義の強化に尽力。「神のロットワイラー犬(ドイツの大型犬)」の異名をとっていた。

 法王に就任した2005年は、アメリカなどで神父による子供への性的虐待事件が相次いで明るみになり、法王庁が揺れていた時期だった。

 法王就任後は家族の価値観を強調し、人工妊娠中絶や安楽死、同性婚に激しく反対するなど、保守的な姿勢を貫いてきた。

(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE



教会の利益考え判断 退位、近現代では例なし

2013.2.11 22:42
ローマ法王ベネディクト16世(85)が11日、突然退位の意向を表明した。歴代法王の中には過去に任期途中で引退した例もあったが、実質的に終身制の法王の退位は近現代では例がない。高齢のため職務遂行に限界を覚え、カトリック教会全体の利益を考えて身を引いたとみられる。

 過去にはローマとフランス・アビニョンに法王庁が分裂し、法王が3人乱立していた時代に、分裂解消に伴って1415年、グレゴリオ12世が退位に同意。法王が任期途中に引退するのはこれ以来とみられる。

 前法王ヨハネ・パウロ2世は晩年、パーキンソン病を患い、職務遂行が困難になったが2005年に亡くなるまで法王職にとどまった。前法王の困難な状況を間近で目撃したベネディクト16世は以前から、職務を果たせない健康状態になったら辞める意向を示唆していた。(共同)




ローマ法王が28日に退位 高齢理由、600年ぶり自己意思で 3月末までに新法王選出へ

2013.2.11 22:13
【ベルリン=宮下日出男】イタリアからの報道によると、ローマ法王ベネディクト16世(85)は11日、枢機卿会議で今月28日で法王を退位する意向を表明した。高齢で法王の職務の重責を果たせなくなったことが理由としている。法王は事実上の終身職であり、存命中の退位は極めて異例。「自己の意思による退位」は1415年のグレゴリウス12世以来、約600年ぶりとみられる。

 ローマ法王庁(バチカン)報道官は3月末の復活祭までに新法王が選出されるとの見通しを示した。

 ベネディクト16世はこの日の枢機卿会議で、「神の前で繰り返し検討したが、高齢により、私の力は職務遂行にふさわしくないとの確信を得た」と述べ、退位の意向を伝達。後任選出のための法王選挙(コンクラーベ)の開催を要請した。

 ベネディクト16世はドイツ・バイエルン州出身。ミュンヘン大などで哲学や神学を修めた。1977年に枢機卿、81年に法王庁教理省長官に。2005年4月2日、先代のヨハネ・パウロ2世が死去した後、同19日、コンクラーベで第265代の法王に選出された。法王はローマ・カトリック教会の最高位者であり、バチカン市国の元首でもある。

 ベネディクト16世の法王就位後の法王庁をめぐっては、2012年1月以降、公共事業をめぐる不正などを示す内部文書が相次いでメディアに漏洩(ろうえい)し、「バチリークス」と呼ばれた。法王の身の回りの世話をしてきた男が昨年5月、機密書類を盗んだ容疑で逮捕され、10月に禁錮18月の判決を受けた。一連の騒動は、法王庁内部の権力闘争の結果との臆測を呼んでいた。