【ワシントン共同】米政府の科学諮問委員会は2月29日、生物テロへの悪用の恐れがあるとして日欧の科学者が公表を予定している鳥インフルエンザウイルスの遺伝子操作に関する論文の一部削除を要請した問題で、対応を再検討する会合を3月に開くことを明らかにした。公表による危険性が低いことを示唆する新たなデータが研究者から示されたためで、要請が撤回される可能性も出てきた。
米政府の意思決定に関わる米国立衛生研究所幹部がワシントンで開かれた研究集会で明らかにした。
遺伝子操作で人工的に作ったH5N1型のウイルスの感染力や毒性は、当初米政府が想定したよりも低いとみられる。
2012/03/01 11:22 【共同通信】
鳥インフル研究 米が勧告見直し示唆
3月1日 11時44分
毒性の強い鳥インフルエンザの研究がテロに悪用されるおそれがあるとして、アメリカ政府が公表を控えるよう勧告した問題で、アメリカ政府は、29日、勧告を見直す可能性があることを示唆しました。
この問題は、日本とオランダの研究者が行った毒性の強い鳥インフルエンザの研究の論文について、アメリカ政府がテロに悪用されるおそれがあるとして、詳細な公表を控えるよう勧告したものです。
アメリカ政府の担当者は、29日、ワシントンで開かれたバイオテロ対策について話し合うシンポジウムに出席し、「もう一度、バイオテロに関するアメリカ政府の諮問委員会を開いて議論する必要がある」と述べて、公表の在り方を改めて検討し、勧告を見直す可能性があることを示唆しました。
その理由について、担当者は、鳥インフルエンザの研究者がウィルスにほ乳類が感染しても致命的な症状は発生せず、テロに悪用しにくいというデータを近く明らかにするとしていることや、WHO=世界保健機構が、先月、研究の成果をワクチン作りなどに生かせるよう公表すべきだとする見解を示したことを挙げています。
これについて、諮問委員会のポール・カイム委員長は、「研究者から提供される新たなデータに説得力があるのか注目したい」と述べ、勧告を見直すかどうか慎重に見極めていきたい考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120301/t10013400311000.html
米委員会の反対姿勢変更も=鳥インフル論文問題で-米科学誌
強毒性鳥インフルエンザA型H5N1亜型のウイルスがヒトと同じ哺乳類で感染しやすくなる可能性を示した米欧2論文の発表に米政府の科学諮問委員会が反対している問題で、米科学誌サイエンス電子版は1日までに、同委員会が反対姿勢を変える可能性があると報じた。
同誌によると、世界保健機関(WHO)が2月に開いた専門家会合で、2論文の代表者である米ウィスコンシン大の河岡義裕教授(東大医科学研究所教授兼任)とオランダ・エラスムス医療センターのロン・フーシェ教授が論文に関連する新データを提示した。このことを受け、米政府が科学諮問委に対し、再検討を要請したという。
科学諮問委は2論文が同誌や英科学誌ネイチャーに発表されれば、テロ組織などが悪用する恐れがあるなどとして、両誌に論文を掲載しないよう勧告。これに対し、WHOの専門家会合は、2論文は感染予防対策に役立つため全文公開すべきだとした上で、実験施設のウイルス管理強化策の検討を提言していた。(2012/03/01-13:48)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012030100522